カフェ物件の選び方、契約前に設備と費用の七条件をそろえて比べる
カフェの営業許可は工事完成後の検査で決まり、ガスや排気が合わなければ工事をやり直すことになる。客層・面積・用途・電気ガス・給排水・排気・費用の七条件を契約前に比べ、後から直せない設備で候補を絞る方法を示す。

カフェの営業許可は、内装工事が終わった後の保健所の検査で決まる。東京都北区の案内によると、施設基準に合わなければ許可は出ず、直してから改めて検査を受ける。直す箇所がガスや排気、排水といった建物側の設備なら、工事のやり直しで開業が遅れ、その間も家賃はかかる。物件を契約する前に、客層・面積・用途・電気とガス・給排水・排気・費用の七つの条件を同じ表で比べておけば、こうした手戻りの多くは内見の段階で避けられる。
許可は完成後の検査で決まり、設備の不備は開業日に響く
営業許可の流れは、工事の前に図面で相談し、完成後に検査を受ける順になる。新宿区の案内では、工事着工前に設計図を持って事前相談し、申請書類は完成予定日の10日ほど前に出す。検査で施設基準への適合が確かめられてから許可書の交付までは、約1週間(5開庁日)かかる。
- 事前相談工事の着工前に、設計図を保健所へ持参して相談する
- 申請完成予定日の10日ほど前に、申請書と機器名を書いた平面図などを出す
- 施設検査営業者が立ち会う。基準に合わなければ改善して再検査
- 許可書の交付新宿区では検査終了から約1週間(5開庁日)
北区によると、飲食店営業の新規の許可申請手数料は1万8300円で、食品衛生責任者を施設ごとに置く必要もある。手数料より大きいのは、検査に落ちたときの時間の損失だ。カフェという呼び名だけでは必要な設備は決まらず、飲料中心か、加熱調理をする食事中心か、持ち帰りの商品を作るかで相談の中身が変わる。メニューと営業方法を固めてから候補物件の図面を持ち込むと、保健所との相談が具体的になる。
ガス・排気・排水は後から直せない場合があり、最初に絞り込む
七つの条件のうち、候補を最初にふるい落とすのは建物側の設備だ。厨房屋によると、ガス容量の増設は配管の太さが足りていれば工事で対応できるが、足りなければその物件をあきらめるしかない。INUKIBAは、重飲食可の物件でも現況の設備が軽飲食向けという例が多いとし、ダクト、グリストラップ、ガス容量の3点を現地で見るよう挙げている。
比べる前に、使う機器の一覧を用意しておくと判断が速い。コーヒー機器に加え、冷蔵、製氷、食器洗浄、給湯、空調の仕様を並べ、同時に動かす場面を設計者に伝える。電気は容量に加えて配線方式や三相動力の有無、排気はダクトの径と経路と出口、排水は勾配とグリストラップの位置が比べる項目になる。給水口や接続口があることと、計画する洗浄や調理に足りることは別の話だ。
前の店の設備が残っていても、新しい営業計画で基準に合うとは限らない。東京都多摩府中保健所は、2021年6月に始まった新しい施設基準の例として、洗った手を再び汚さない水栓の手洗器を示している。居抜きの手洗器や流しをそのまま使えるかは、事前相談で図面と合わせて聞くと、改修の要否が契約前にわかる。
立地と面積は、入りやすい階と作業の配置で比べる
立地は通行量より、迎えたい客が入りやすいかで比べる。日本政策金融公庫「創業の手引+ 飲食業」は、顧客ターゲットを具体的に描いてから立地や内外装を決めるよう示す。階数は1階をほとんどの業態に向くとし、2階は採光が良ければカジュアルな店向き、3階はエレベーターがなければ避けたいとしている。平日の昼と休日の午後など、想定する客が来る時間に現地を見ると、入口までの経路や看板の見え方が比べやすい。
面積は募集面積でなく、厨房、保管、洗浄、通路を図面に置いた後の客席で比べる。INUKIBAは、席数、厨房規模、作業動線に加え、看板の位置や営業時間・業態の制限を内見で見る項目に挙げる。募集表示の「飲食可」と、予定する調理方法や営業時間を貸主が認めるかは、分けて聞く必要がある。
| 条件 | 持ち帰る資料・記録 | 相談先 |
|---|---|---|
| 客層と立地 | 想定する時間帯の現地の記録、階数 | 開業支援の担当者 |
| 使える面積 | 寸法と、厨房・客席の配置案 | 設計者 |
| 用途・営業制限 | 契約案、管理規約、看板の条件 | 貸主・仲介担当者 |
| 電気・ガス | 機器の仕様と、既存の容量・配管 | 設備工事の担当者 |
| 給排水 | 接続位置、排水勾配、グリストラップ | 設計者・保健所 |
| 排気 | ダクトの径・経路・出口 | 設計者・貸主 |
| 費用と退去条件 | 工事見積もり、造作の契約形態、原状回復の範囲 | 貸主・必要に応じ弁護士 |
家賃が安くても、造作の契約と退去条件で総額は変わる
家賃は単独でなく、工事費と退去時の負担を足した総額で比べる。日本政策金融公庫の手引は、喫茶店の平均を原価率30%、人件費率36%(同公庫総合研究所の2019年調査)と示す。両方を足すと66%で、家賃とその他の経費、利益は残りの3割強でまかなうことになる。手引は、家賃と保証金が周辺相場に比べて妥当か、工事は2社以上から見積もりを取ったかを検討項目に挙げている。
居抜きでは、残った設備の契約形態で費用と責任が変わる。厨房屋によると、無償貸与は設備の所有権が貸主にあることが多く、造作譲渡は有償で所有権が借主に移る。INUKIBAは、造作が無償でも業態に合わなければ撤去と新設の費用がかさむとし、原状回復の範囲や解約予告期間を早い段階で詰めることを勧める。公庫の手引は、前の店が閉めた理由が立地にある場合は注意が必要だとしている。
契約を決める条件は、用途の承諾、ガス・排気・排水の適合、工事の承諾の三つがそろっているかだ。三つがそろった候補は家賃と工事見積もりの総額で順位を付け、どれかが欠ける候補は、増設の可否と費用の回答を得るまで比べる対象から外しておく。設備が合わない物件が多ければ、加熱調理を減らして飲料中心にメニューを組み直す案と、条件の合う別の物件を探す案のどちらが資金計画に収まるかが、次の判断になる。
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