日高屋は増益、壱番屋は減益 9月に壱番屋は値上げ、串カツ田中は値下げ
2026年3〜8月は日高屋と壱番屋がともに約1割の増収。費用の伸びを抑えた日高屋は増益、原価と販管費が売上を上回った壱番屋は減益だった。9月は値上げの壱番屋で客数が7.0%減り、値下げの串カツ田中は前年を上回った。

食材高と賃上げが続くなか、2026年3〜8月の中間決算で日高屋と壱番屋は売上高がともに約1割伸びたが、利益の行方は分かれた。ハイデイ日高(日高屋)は人件費や販管費の伸びを売上高の伸び(10.8%)より低く抑え、営業利益を11.0%増やした。壱番屋(CoCo壱番屋)は売上原価が11.3%、販管費が13.7%増えて売上高の伸び(10.0%)を上回り、営業利益は17.2%減った。下期に入った9月、打ち手は逆に分かれた。壱番屋は深夜料金の導入とトッピングの値上げに踏み切り、国内の既存店は客単価が6.1%増える一方、客数は7.0%減った。会社は台風や大雨などの天候不順を理由に挙げる。串カツ田中はドリンクを値下げし、既存店の客数は前年を1.5%上回った。費用の上昇を値上げで補うか、値下げで客数を取りにいくかは、原価率と人件費率のどちらが上がっているかで選び方が変わる。
売上は同じ1割増、日高屋は客数と単価、壱番屋は単価と子会社で伸びた
ハイデイ日高の決算短信によると、中間期の売上高は340億63百万円で、売上高と各利益がいずれも3年連続で中間期の過去最高を更新した(メディアIRも同様に報じている)。既存店は客数が2.6%、客単価が2.5%増え、月次の速報では客数が上期の6カ月とも前年を上回った。同社は増収の要因に、新店の好調、既存店の客数の持続的な伸び、ポイントやキャッシュレス決済のキャンペーン、営業時間の延長を挙げる。7月に初めて開いた「ニラレバ炒めキャンペーン」では、同商品の注文数が前年比1.5倍を超えた。
壱番屋の決算短信によると、国内CoCo壱番屋の既存店売上高(直営店とFC店の合計で、直営は1,205店のうち120店)は2.4%増えた。客数は前年同期並み(6〜8月は0.5%減)で、伸びは客単価の2.5%増による。同社は単価が上がった理由に、コラボレーション企画と、比較的単価の高い期間・数量限定メニューの販売を挙げる。連結の売上高は10.0%増えた。同社は国内の既存店の堅調さを挙げ、それに加えて店舗売上高が14.6%増えた海外事業と、62.8%増えた国内子会社事業の拡大が伸びを押し上げた。
店にとっては、同じ1割増でも中身で意味が違う。客数が伸びた売上は同じ人員と店舗の稼働を高め、人件費や家賃の比率を下げやすい。単価で伸びた売上は、食材費の上昇分を上回る値上げ幅がなければ利益率を保ちにくい。
日高屋は人件費と家賃の比率を下げ、壱番屋は原価と販管費が売上を上回った
色:0より高いほど濃い橙、低いほど濃い青
| 会社 | 売上高 | 売上原価 | 販管費 | 営業利益 | 既存店客数 |
|---|---|---|---|---|---|
| ハイデイ日高(日高屋) | +10.8 | +14.1 | +9.0 | +11.0 | +2.6 |
| 壱番屋(CoCo壱番屋) | +10.0 | +11.3 | +13.7 | ▲17.2 | 0.0 |
表で売上高の列と販管費の列を見比べると、2社の差がわかる。日高屋は販管費の伸びが売上高を下回り、壱番屋は上回った。売上原価は2社とも売上高より速く伸びており、食材高は共通の重荷になっている。
日高屋の原価率は31.2%と前年同期から0.9ポイント上がった。決算短信は、7月まで高水準だった米価格と、豚肉・小麦粉・長ネギなどの値上がりを挙げる。それでも営業利益率は前年同期と同じ11.9%を保った。決算補足説明資料によると、正社員の賃上げ率は約7.1%で、人件費は7.2%増えたが、売上高の伸び(10.8%)を下回り、人件費率は1.0ポイント下がった。同社は人件費などの増加を増収で吸収したと説明する。
壱番屋は、海外や国内子会社を含む連結で、売上原価が160億54百万円から178億63百万円に、販管費が134億36百万円から152億72百万円に増えた。増収で得た分を費用の増加が上回り、同社は減益の理由に、米をはじめとする食材の仕入価格の上昇と物流費などの増加を挙げる。
店に置き換えると、賃上げや食材高のなかで利益率を保てるかは、原価率の上昇を人件費や家賃の比率の低下で打ち消せるかにかかる。月ごとの売上を客数と客単価に分け、原価率・人件費率・家賃比率と並べると、利益率の変化がどの費用から来ているかが見える。
9月、値上げした壱番屋は客数7.0%減、値下げした串カツ田中は前年超え
壱番屋は2026年8月28日の発表で、国内のCoCo壱番屋に9月1日から深夜料金を導入した。22時〜翌5時の店内飲食とテイクアウトの注文に7%を加える。あわせてトッピング44種のうち12種を平均17%(税込11〜60円)値上げし、豚しゃぶは税込336円から396円になった。理由には、原材料や包装資材、物流費、人件費の上昇が企業努力で吸収できる水準を超えたことを挙げる。
壱番屋の9月度月次情報では、国内CoCo壱番屋の既存店売上高は前年比1.4%減だった。客単価は6.1%増えたが、客数は7.0%減り、上期の各月(前年比96.6〜105.0%)をいずれも下回った。同社は客数減の理由に関東を中心とした台風や大雨などの天候不順を、単価増の理由に期間・数量限定メニューの販売を挙げる。
- 日高屋
- CoCo壱番屋
- 串カツ田中グループ
串カツ田中を運営する会社は2026年3月にユニシアホールディングス(ユニシアHD)へ社名を変えた。業績予想修正のお知らせによると、2025年12月〜2026年5月の国内直営既存店売上高は前年同期比114.6%で、会社は「無限串」シリーズの集客効果などを挙げる。ただ月次報告では、グループ直営既存店の客数は6月が98.6%、7月が96.4%と前年を下回った。
同社は9月4日に、新しい屋号・ロゴ・店舗デザインのリブランディング1号店(赤坂店)を開いた。その一環として9月10日から全店で、「無限ハイボール」を100円(税抜、税込110円)の定番メニューにし、サワー・酎ハイ9品目を450円から290円(いずれも税抜)に下げた(串カツ田中公式サイト)。Impress Watchによると、新価格は期間限定ではなく継続する。9月の既存店客数は101.5%で、同社は前年9月の高い伸び(118.4%)と長雨などの悪天候のなかでも、新価格のお得感が客数を力強く牽引したと説明する。
2社とも9月は悪天候に見舞われたと説明するなかで、値上げした壱番屋は客単価が上がって客数が減り、値下げした串カツ田中は客数が前年を上回った。9月の数字に表れたのは壱番屋の値上げの1カ月分と、串カツ田中の値下げの9月10日以降の分だけで、値付けの効果は10月以降の月次で見極めることになる。
10月以降は値付けを変えた2社の客数と、日高屋の客数の戻りが焦点
日高屋の9月度売上高速報では、既存店の客数が99.8%と、上期の各月で続いた前年超えが途切れた。客単価は102.4%で、既存店売上高は102.2%を保った。壱番屋は営業利益50億円の通期予想を据え置き、価格改定による修正もないとしている。上期の20億91百万円を差し引くと、下期に約29億円を稼ぐ計画になる。
10月以降に見る数字は3つある。壱番屋は、9月に6.1%増えた客単価が客数の減少を上回り、既存店売上高が前年を超えるか。値上げの影響を測れるのは10月以降の月次になる。串カツ田中は、新価格のもとで客数が前年を上回り続けるか、9月は101.5%だった客単価を保てるか。日高屋は、価格を変えずに客数が前年を回復するかだ。
自店で値上げ後に客数が前年を割る月が続くなら、次の手は原価率で選び分けられる。原価率が上がり続けている店では、値下げは採算をさらに圧迫しやすく、壱番屋のように単価の見直しを続けつつ、客数の戻りを月次で確かめる方法がある。原価率が落ち着き、人件費や家賃の比率が上がっている店では、串カツ田中のように飲み物など対象を絞った値下げで来店を戻す方法も比べる候補になる。
出典
- ハイデイ日高 2027年2月期第2四半期(中間期)決算短信
- ハイデイ日高 2027年2月期第2四半期 決算補足説明資料
- ハイデイ日高 2027年2月期9月度売上高速報
- メディアIR「ハイデイ日高、中間期売上・利益が3年連続最高」
- 壱番屋 2027年2月期第2四半期(中間期)決算短信
- 壱番屋 2026年9月度 月次情報
- 壱番屋 深夜料金の導入および一部トッピング価格改定に関するお知らせ
- ユニシアホールディングス 商号の変更及び定款の一部変更に関するお知らせ
- ユニシアホールディングス 連結業績予想と実績との差異及び通期連結業績予想の修正に関するお知らせ
- ユニシアホールディングス 月次報告(2026年9月度)
- 串カツ田中公式サイト お知らせ(ハイボール・サワー酎ハイの価格改定)
- Impress Watch 串カツ田中のリブランディングと価格改定
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