9月の上場外食、客数を開示した増収38社のうち16社が客数前年割れ
2026年9月の上場外食は、既存店売上高を開示した51社のうち41社が前年を上回った。一方で客数が前年を超えたのは46社中21社で、増収38社のうち16社は客数が前年割れだった。客数で伸ばした企業と単価で売上を保った企業を比べる。

2026年9月の上場外食は、既存店売上高を開示した51社のうち41社が前年同月を上回った。ところが客数も開示した46社でみると、客数が前年を超えたのは21社にとどまる。増収となった38社のうち16社は、客数が前年を下回った。売上の伸びを支えたのは主に客単価で、上場チェーンでも来店客を増やせた企業は半分に満たない。値上げした店は、売上が前年を超えていても、客数の前年比まで見ないと客離れの始まりに気づきにくい。
増収は広がったが、居酒屋は売上・客数とも前年割れ
業態別の単純平均では、13区分のうち11区分で既存店売上高が前年を上回った。一方、客数の平均が前年を超えたのは6区分で、売上の伸びに客数が追いついていない。
色:100より高いほど濃い橙、低いほど濃い青
| 業態(売上高の開示社数) | 売上高 | 客数 | 客単価 |
|---|---|---|---|
| ファストフード(2社) | 112.7% | 105.0% | 107.3% |
| 牛丼・定食(6社) | 104.3% | 100.9% | 103.5%(5社) |
| ラーメン・中華(10社) | 105.0% | 102.3% | 102.2%(9社) |
| 寿司(3社) | 107.6% | 100.9% | 106.7% |
| 焼肉・ステーキ(4社) | 105.9% | 99.3%(2社) | 開示なし |
| ファミリーレストラン(4社) | 106.7% | 101.8% | 104.8% |
| 居酒屋(9社) | 99.3% | 98.9% | 100.6% |
| カフェ・喫茶(1社) | 103.0% | 98.4% | 104.7% |
| うどん・そば(2社) | 102.8% | 100.9%(1社) | 101.2%(1社) |
| 専門店(4社) | 102.8% | 97.6% | 105.8%(2社) |
| 宅配・持ち帰り(2社) | 99.7% | 93.0%(1社) | 108.3%(1社) |
| 高級・宴会(1社) | 102.5% | 99.5% | 103.1% |
| 多業態(3社) | 101.1% | 97.7%(2社) | 105.1%(2社) |
出典:各社の月次開示(2026年9月度)。業態区分はCOVERSの上場外食企業ページと同じ。売上規模で加重しない単純平均(小数第2位を四捨五入)。客数・客単価は開示した社だけで平均
業態別に客数の伸びが大きかったのはファストフード(105.0%)とラーメン・中華(102.3%)だ。寿司は売上高が107.6%と伸びたが、客数は100.9%にとどまり、客単価の106.7%が増収を支えた。
居酒屋9社は売上高99.3%、客数98.9%と、どちらも前年を下回った。客単価の平均も100.6%と上げ幅が小さい。9社のうち3社は客単価が前年を下回った。居酒屋を営む店にとって、9月は上場チェーンでも単価と客数の両方を伸ばせなかった月で、自店の前年割れが業態全体の傾向と重なるかを測る目安になる。なお、カフェ・喫茶や高級・宴会など1〜2社の区分は、個社の数字として読むのが妥当だ。
客数8%増の4社のうち3社は、単価を小幅に抑えた
客数の伸びが大きかった上位8社のうち4社は、幸楽苑、丸千代山岡家、リンガーハット、SAKIGAKEホールディングスのラーメン・中華だった。
色:100より高いほど濃い橙、低いほど濃い青
| 企業 | 客数 | 客単価 | 売上高 |
|---|---|---|---|
| 幸楽苑 | 108.9% | 101.6% | 110.6% |
| 丸千代山岡家 | 108.8% | 100.6% | 109.5% |
| サイゼリヤ | 108.6% | 101.8% | 110.6% |
| ユナイテッド&コレクティブ | 108.4% | 93.0% | 100.8% |
| モスフードサービス | 106.7% | 108.1% | 115.3% |
| 吉野家HD | 104.3% | 105.6% | 110.1% |
| リンガーハット | 104.2% | 102.3% | 106.6% |
| SAKIGAKEホールディングス | 104.1% | 開示なし | 111.5% |
出典:各社の月次開示 2026年9月度(客数を開示した46社のうち、客数の前年同月比が高い順に8社)
客数が8%以上増えたのは4社で、そのうち幸楽苑、丸千代山岡家、サイゼリヤの3社は客単価の上昇が0.6〜1.8%にとどまった。単価を大きく上げずに来店を増やした形だ。幸楽苑の9月度売上推移速報によると、同社は9月26〜28日の3日間の創業祭で「郡山ブラック」など2品を各500円(税込)で売った。同社の売上高と客単価は値引き前の金額で計算しているため、客が実際に払った単価は表の数字が示すより低い。
同じ8%台の客数増でも、ユナイテッド&コレクティブは客単価が93.0%に下がり、売上高は100.8%にとどまった。客数を増やす施策も、単価の下げ幅が大きければ増収にはつながりにくい。
表の8社で客数と客単価がそろって大きく伸びたのはモスフードサービスで、客数106.7%、客単価108.1%で売上高は115.3%だった。表の8社に次ぐ客数103.3%の日本マクドナルドホールディングスも、客数と単価がともに伸びた。同社のIRセールスリポートでは、9月の既存店売上高は110.0%で、客数103.3%、客単価106.5%だった。客数の伸びは7月0.3%、8月1.3%、9月3.3%と広がった。マネーポストWEB掲載のFISCOの記事は、月見バーガーなど期間限定商品が貢献したとみている。
客数が落ちた企業は、単価で埋めきれたかで明暗
客単価で売上を保った代表がくら寿司だ。同社の9月度月次情報では、既存店売上高111.1%に対し、客数は99.3%だった。同社は商品フェア、一部商品の価格改定、QRクーポンキャンペーンを実施し、土日祝日が前年より1日多かったことも挙げている。前年9月の既存店売上高は88.5%と低く、今回の伸びは比較の土台の低さも含めて読む必要がある。
すかいらーくホールディングスのIRレポートでは、9月の客数は99.3%と、8月の100.5%から前年割れに転じた。客単価が103.7%と上がり、売上高は102.9%を保った。
客数の落ち込みが大きかった6社をみると、増収か減収かを分けたのは単価の上げ幅の大きさではなく、客数の落ち幅を単価で埋めきれたかどうかだった。
色:100より高いほど濃い橙、低いほど濃い青
| 企業 | 売上高 | 客数 | 客単価 |
|---|---|---|---|
| 一家ホールディングス | 94.0% | 91.1% | 103.1% |
| 壱番屋 | 98.6% | 93.0% | 106.1% |
| KOZOホールディングス | 100.7% | 93.0% | 108.3% |
| NATTY SWANKYホールディングス | 103.4% | 94.6% | 109.3% |
| グローバルダイニング | 100.4% | 95.2% | 105.5% |
| きちりホールディングス | 100.3% | 95.7% | 104.8% |
出典:各社の月次開示 2026年9月度(客数を開示した46社のうち、客数の前年同月比が低い順に6社)
6社はいずれも客数が前年を4%以上下回った。壱番屋は客単価を6.1%上げたが、客数が7.0%減り、売上高は98.6%と前年を下回った。壱番屋の月次資料によると、客数は関東を中心とした台風や大雨で減り、客単価は期間・数量限定の比較的高いカレーなどで上がった。一方、きちりホールディングスは単価の上げ幅が4.8%と壱番屋より小さかったが、客数の減少が4.3%に収まり、売上高は100.3%とわずかに前年を上回った。グローバルダイニングも客数95.2%、客単価105.5%で、売上高は100.4%だった。客数が8.9%減った一家ホールディングスは、3.1%の単価上昇では埋まらず、売上高が94.0%まで下がった。単価を上げた店では、単価の上げ幅が客数の落ち幅を上回っているかを月ごとに確かめると、増収が続くかどうかを早めに見分けられる。
10月は休日が1日多く、客数の前年超えは割り引いて読む
9月の数字には暦の追い風が含まれる。2026年9月の土日祝日は11日で、前年より1日多い。サイゼリヤの月次報告は、休日の多さが既存店売上高を2%ポイント程度押し上げたと考えるとしている。
2026年10月も土日祝日は10日で、2025年10月の9日より1日多い。逆に11月は2026年が11日、2025年が12日で、1日少なくなる。10月の月次で客数が前年を上回っても、休日1日分の上乗せを差し引いて読む必要がある。休日が1日少ない11月は、暦の逆風の中で客数を保てるかを見る月になる。
今後の月次で注目したいのは、9月に増収かつ客数割れだった16社が客数を戻せるかと、マクドナルドのように客数と単価がそろって伸びる企業が増えるかだ。自店に当てはめるなら、価格を改定した店は客数の落ち幅が単価の上げ幅の内に収まっているかで効果を測り、集客施策を打った店は休日が1日少ない11月の客数で成果を比べる方法がある。上場チェーンの既存店平均は個店の数字とは異なるため、自店と同じ業態・価格帯の企業を選んで比べると判断に使いやすい。
出典
- 光フードサービス 月次開示(2026年9月度)
- FiscoNews(マネーポストWEB)日マクド—反発、9月既存店は1月以来の高い伸び率に(2026年10月7日)
- INGS 月次開示(2026年9月度)
- くら寿司 9月度月次情報(2026年10月5日)
- 日本マクドナルドホールディングス IRセールスリポート
- 大戸屋ホールディングス 月次開示(2026年9月度)
- ガーデン 月次開示(2026年9月度)
- フジオフードグループ本社 月次開示(2026年9月度)
- あみやき亭 月次開示(2026年9月度)
- カルラ 月次開示(2026年9月度)
- ハブ 月次開示(2026年9月度)
- JBイレブン 月次開示(2026年9月度)
- WDI 月次開示(2026年9月度)
- きちりホールディングス 月次開示(2026年9月度)
- 物語コーポレーション 月次開示(2026年9月度)
この記事に関連するサービス
一覧を見る関連記事

上場外食の1人当たり売上高は中央値1,205万円、パートを除くと4倍近くに
上場外食95社の1人当たり売上高は、パートを人数に含めると中央値約1,205万円、含めないと約4,644万円。宅配・持ち帰りなど一部を除けば業態差は小さく、同じ業態の中の差が大きい。自店と比べるときの数え方も示す。

飲食店の営業許可、新法で94万施設でも合計は横ばい
改正食品衛生法の飲食店営業許可は2025年3月末に94万施設余りと1年で22万増えたが、旧法の許可が同じだけ減り総数は約143万で横ばいだった。新規許可も出店数とは読めず、旧法の許可で営業する店は次の更新で新基準の審査を受ける。

値上げは粗利を多く削る品から、客数の反応は品目別に測る
2026年8月の外食は客単価102.3%、客数102.6%と伸びたが、ファミレス和風は客数が前年並みで、協会は過去の値上げと天候不順を挙げた。粗利を多く削る品から改定し、看板商品を分けて客数の反応を測る手順と表示の決まりを示す。