8月の外食売上4.9%増も伸び鈍化、喫茶とパブ・ビアホールは客数が前年割れ
2026年8月の外食売上高は前年同月比104.9%と前年超えが続いたが、伸びは前年8月の108.4%から縮み、客単価の伸びは13か月で最小だった。喫茶は客数減を客単価で補い、パブ・ビアホールは客数・売上とも前年を割った。

8月の外食売上は前年同月比104.9%と前年超えが続いたが、客単価の伸びは102.3%と直近13か月で最も小さかった。客単価による上乗せが細り、売上の伸びは客数に左右されやすくなっている。喫茶は客数が前年を割ったまま客単価で売上を保ち、パブ・ビアホールは客数96.3%で売上も前年を割った。自店の客数が業態の数字に届いているかが、次の価格や販促を決める目安になる。
前年超えは57か月続くが、伸びは前年8月の8.4%から4.9%に縮んだ
8月の外食売上は前年を上回ったものの、伸びは前年8月より3.5ポイント小さい。協会の調査は新規店を含む全店ベースだ。対象は会員229社の3万6,982店である。客数は102.6%、客単価は102.3%だった。前年8月は客数103.9%、客単価104.4%で、どちらも今年の方が伸びが小さい。流通ニュースも同じ日に売上高4.9%増、客数2.6%増、客単価2.3%増と報じた。MINKABU PRESSによると、全店売上の前年超えは57か月連続になる。
協会は概況を「お盆需要が下支えも、天候要因や節約志向などで客足に明暗」とまとめた。中下旬の台風や局地的大雨で雨天日が多く、月後半を中心に客足が落ちたと説明している。お盆の帰省・観光需要や冷たい季節メニューが全体を支えた。
客単価の伸びが13か月で最小になり、売上は客数次第に
売上高は「客数×客単価」で決まる。8月は客数・客単価がそれぞれ2%台の伸びで売上を押し上げたが、客単価の伸びは下のグラフの13か月で最も低かった。
- 客数
- 客単価
単位:%
表で見る
| 客数 | 客単価 | |
|---|---|---|
| 25年8月 | 103.9 | 104.4 |
| 9月 | 101.3 | 103.4 |
| 10月 | 103.2 | 104 |
| 11月 | 104.2 | 104.4 |
| 12月 | 102.4 | 103.5 |
| 26年1月 | 105.2 | 103.1 |
| 2月 | 103.9 | 102.6 |
| 3月 | 102.8 | 102.9 |
| 4月 | 105.3 | 102.5 |
| 5月 | 106.1 | 103.5 |
| 6月 | 100.8 | 102.4 |
| 7月 | 103.2 | 103.5 |
| 8月 | 102.6 | 102.3 |
2025年8月から12月までは、5か月とも客単価の伸びが客数の伸びを上回っていた。2026年に入ると客単価の伸びは102.3〜103.5%の範囲に収まり、8か月中5か月は客数の伸びが客単価を上回った。客単価で売上を押し上げる幅が小さくなり、売上の伸びは客数の動きで決まる度合いが強まっているとみられる。
しかも全店売上には、店舗が増えた分が含まれる。全体の店舗数は101.2%だった。売上高104.9%を店舗数101.2%で割ると約103.7%、客数102.6%を同じく割ると約101.4%になる(編集部の計算)。1店あたりで見れば、客数の伸びは1%台にすぎない。業界全体の売上が伸びていても、1店あたりの客数が大きく増えているわけではない。
客数で伸びる業態、客単価で保つ喫茶、売上も割ったパブ・ビアホール
業態別では、客数で伸びた業態、客数が減っても客単価で売上を保った業態、売上まで前年を割った業態に分かれた。
色:100より高いほど濃い橙、低いほど濃い青
| 業態 | 売上高 | 店舗数 | 客数 | 客単価 |
|---|---|---|---|---|
| ファストフード計 | 105.8% | 102.0% | 103.7% | 102.0% |
| うち和風 | 107.3% | 102.4% | 106.4% | 100.8% |
| うち麺類 | 104.9% | 104.2% | 100.9% | 104.0% |
| ファミリーレストラン計 | 103.7% | 99.7% | 100.8% | 102.9% |
| うち洋風 | 105.5% | 98.0% | 101.3% | 104.1% |
| うち和風 | 102.0% | 102.0% | 100.0% | 102.0% |
| パブ・居酒屋計 | 100.6% | 100.6% | 99.3% | 101.3% |
| うちパブ・ビアホール | 98.8% |
客数で伸ばしたのはファストフードの和風で、客単価100.8%とほぼ横ばいのまま客数は106.4%だった。協会は好調の理由に、TVCMを展開した新メニューや冷たい季節メニュー、お盆のテイクアウト販促を挙げた。ファミリーレストランの洋風は店舗数98.0%と減るなかで売上105.5%を確保した。流通ニュースによると、8月の既存店の客数はサイゼリヤが9.2%増、すかいらーくが0.4%増だった。客単価はサイゼリヤが1.5%増、すかいらーくが4.2%増だった。同じ業態でも、客数で伸ばす会社と客単価で伸ばす会社がある。一方、ファミリーレストランの和風は客数100.0%にとどまり、協会は過去の値上げに伴う客数の伸び悩みを挙げている。
喫茶は客数99.1%と前年を下回ったが、客単価105.6%で売上104.7%を確保した。協会も天候不順の影響が大きく「客単価の上昇が売上を支え」たとしている。売上の数字だけを見れば好調な業態に見えるが、客数は前年を下回った。
パブ・居酒屋計は売上100.6%、客数99.3%だった。内訳では、パブ・ビアホールが客数96.3%、売上98.8%と、客数・売上とも前年を割った。客単価102.6%の上昇では客数の減少を補えなかった。居酒屋単独は客数100.5%、売上101.2%で前年を上回っている。協会は飲酒業態全体について、月後半の天候不順やゲリラ豪雨によるビヤガーデン等の客足の乱れ、台風接近に伴う一部店舗の営業時間短縮を挙げた。屋外席や季節営業の比重が大きい店ほど、天候の影響を受けやすかったとみられる。
自店の客数が業態の数字を下回るなら、価格より集客の手が先になる
協会の数字は全店ベースで、既存店の数字は公表されていない。自店と比べるときは、売上高ではなく客数を、単位と条件をそろえて並べると判断を誤りにくい。
- 単位をそろえる:業界の客数を店舗数の伸び(全体101.2%)で割り戻し、1店あたりの目安にする
- 業態の客数と並べる:自店の客数を、属する業態の客数(例:ファミリーレストラン計100.8%、喫茶99.1%、居酒屋100.5%)と比べる
- 地域の天候を合わせる:協会資料では、東京都は雨天日数が前年の7日から12日に増え、平均気温は29.6℃から26.7℃に下がった。大阪府は雨天日数が7日から5日に減った。休日・土曜の日数は両年とも同じだった
次の9月度の調査では、客単価の伸びが102%台にとどまったまま、客数が前年を上回り続けるかが焦点になる。客数も鈍れば、業界全体で売上の伸びがさらに細る。自店の客数が2か月続けて業態の数字を下回り、客単価だけで売上を保っている店は、価格をさらに動かす前に客数を取り戻す手が先になる。協会が和風ファストフードの好調の理由に挙げた季節メニューやテイクアウトの販促は、その選択肢になる。客数が業態並み以上を保てている店なら、商品構成や価格を見直す余地がある。
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