開業6か月前からの段取り:融資は出店地の後、工事は保健所相談の後
開店6か月前から準備するなら、出店地を決めてから融資を申し込み、保健所に相談してから工事に入り、開店日は工事の完成日から逆算する。公庫の融資は平均3週間、許可書は検査から1週間程度かかる。

開店の6か月前から準備を始めるなら、作業の順番を誤る余裕はほとんどない。飲食店ドットコムは準備期間を約1年、マネーフォワード クラウドは半年から1年程度としており、6か月は短い側の計画だ。しかも物件は契約した直後から賃料がかかる。順番を決める節目は三つある。出店地を決めてから融資を申し込む、保健所への事前相談を済ませてから内装工事に入る、開店日は工事の完成日から逆算する。どれも前の工程が後の工程の前提になっており、一つ飛ばすと手戻りの日数がそのまま賃料の負担になる。
- 6〜5か月前:出店地を決め、融資を申し込む物件契約から賃料が発生。公庫の融資は出店地が決まってから申し込み、決定まで平均3週間程度
- 4〜3か月前:保健所に事前相談内装の設計図を持参し、着工前に基準を確かめる。食品衛生責任者の講習も手配
- 3〜2か月前:内装工事工事の完成予定日が、許可と開店の日程の起点になる
- 完成予定日の10日ほど前:営業許可を申請目黒区の案内。杉並区は開業予定の10日から1週間前まで
- 完成後:施設検査、許可書の交付目黒区は基準に適合するまで食材の仕込みも不可、交付は検査から1週間程度。世田谷区は検査合格の翌平日から営業でき、許可書は後日交付
- 営業開始可能日以降:調理の研修、開店管轄の保健所が示す営業を始められる日(検査合格日か交付予定日か)から、仕込み・調理の研修と開店日を決める
融資の申込は出店地を決めてから、決定まで平均3週間
日本政策金融公庫の創業融資は、物件が決まってから申し込む手続きになっている。公庫の創業支援Q&Aは、創業予定地が未定の場合について「まずは、出店地を決定されたうえでお申込みください」と案内する。公庫の手続きの案内によれば、面談では資金の使いみちや事業計画を聞き取り、店舗の予定地も訪問する。物件が決まらないうちは、審査の材料がそろわない。
申込から融資決定までは、同じQ&Aで「平均的には、3週間程度」とされ、条件によっては長くかかる。決定後も契約と送金の手続きが続く。6か月前に物件を契約すると、その月から賃料を払いながら融資の決定を待つことになる。内装工事の代金を払う時期までに資金が入るかが、最初の日程上の山だ。
保健所への相談は着工前、図面を変えられる段階で
内装工事に入る前に、保健所へ設計図を持って事前相談に行く。目黒区の案内と杉並区の案内は、どちらも事前相談を工事着工前に設計図などを持参して行うよう求めている。目黒区は「計画変更が可能な段階」での相談としている。工事が終わってから基準に合わないとわかれば、やり直しの費用と日数がかかり、開店日も動く。
飲食店ドットコムは内装工事を3か月前に置く。この配置なら、事前相談は4〜3か月前、内装業者と設計を詰める時期に済ませることになる。設計図ができた段階で保健所に持ち込めば、着工前に設備の配置や仕様を直せる。
食品衛生責任者もこの時期に手配する。目黒区の案内では施設ごとに置く必要があり、東京都内では東京都食品衛生協会が養成講習会を開いている。マネーフォワードは、この資格の取得を4〜2か月前に置いている。
開店日は完成日から逆算し、営業を始められる日に合わせる
営業許可の日程は、開店日ではなく工事の完成予定日を起点に決まる。目黒区の案内では、申請は工事完成予定日の10日ほど前まで、検査は完成後で、検査から許可書の交付まで1週間程度かかる。基準に適合するまでは食材の仕込みもできない。完成予定日の10日前に申請し、完成した日に検査を受けられた場合でも、交付は完成の1週間後ごろになる。杉並区は申請期限を工事の完成日ではなく開業予定日から数えている。一方、世田谷区の案内では、確認検査に合格すれば翌平日から営業を始められ、許可書は後日の交付になる。営業を始められるのが検査合格の後か許可書の交付の後かは、区によって案内が異なる。
| 段階 | 目黒区(2026年4月1日更新) | 杉並区(2024年3月24日更新) |
|---|---|---|
| 事前相談 | 工事着工前、計画変更が可能な段階で設計図等を持参 | 工事着工前に設計図などを持参 |
| 申請の期限 | 工事完成予定日の10日ほど前まで | 開業予定の10日から1週間前まで |
| 施設検査 | 工事完成後。適合まで食材の仕込み等はできない | 申請後に施設検査 |
| 許可書の交付 | 検査から1週間程度 | 検査時に伝えられる交付予定日以降 |
開店日を告知したり予約を受けたりするのは、管轄の保健所から営業を始められる日を聞いてからの方が手戻りが少ない。
採用と研修の時期も、この日程に合わせて組む。飲食店ドットコムは採用・研修を1か月前、マネーフォワードは3〜1か月前に置いている。目黒区では検査で基準に適合するまで食材の仕込みができないため、接客や座学の研修は検査の前に済ませておく。調理を伴う研修は、保健所が示す営業開始可能日(世田谷区なら検査合格の翌平日、許可書の交付を待つ区なら交付予定日)以降に置く。
物件を絞ったら保健所に期限を聞き、開店前の賃料を融資に含める
判断の材料になるのは、物件契約から融資の入金までの日数、内装業者が示す完成予定日の確度、管轄の保健所が示す申請の期限の三つだ。保健所の手続きの日数や営業を始められる時点は自治体によって異なる。物件の候補を絞った段階で、管轄の保健所に事前相談の時期と申請の期限、営業を始められるのが検査合格の後か許可書の交付の後かを問い合わせておくと日程が固まる。そのうえで、開店日はその営業開始可能日から決め、開店までの賃料は運転資金(公庫の新規開業・スタートアップ支援資金では返済期間10年以内)に含めて融資の相談に臨む、という組み方が選択肢になる。
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