上場外食の1人当たり売上高は中央値1,205万円、パートを除くと4倍近くに
上場外食95社の1人当たり売上高は、パートを人数に含めると中央値約1,205万円、含めないと約4,644万円。宅配・持ち帰りなど一部を除けば業態差は小さく、同じ業態の中の差が大きい。自店と比べるときの数え方も示す。

上場外食95社の1人当たり売上高は、パート・アルバイト(臨時雇用者の年間平均人員)を人数に含めると中央値で約1,205万円になる。含めずに正社員などの従業員数だけで割ると約4,644万円で、同じ決算でも数え方だけで4倍近く違う。パートを含めて比べると、宅配・持ち帰りを除く多くの業態は1,000万〜1,450万円台に収まり、業態の差より同じ業態の中の差のほうが大きい。自店の生産性を上場企業と比べるなら、まずパートの数え方をそろえ、同じ業態の幅の中で位置を見る必要がある。
パートを数えないと、寿司は居酒屋の2倍超に見える
人数の数え方で、業態の順位まで入れ替わる。従業員数だけで割った中央値は寿司が約8,588万円、居酒屋が約3,690万円で、寿司は居酒屋の2倍を超える。パートを含めると寿司は約1,197万円、居酒屋は約1,189万円で、ほぼ並ぶ。
差を生むのは人員の構成だ。臨時雇用者が従業員数の何倍いるかを会社ごとに求めると、中央値は寿司が約7.0倍、居酒屋が約1.7倍だった。パートへの依存度が違う業態を正社員の数だけで比べると、パートの多い業態ほど生産性が高く見える。
計算には各社の直近12か月決算の売上高と、有価証券報告書の従業員数・臨時雇用者の年間平均人員を使った。臨時雇用者の換算方法は会社ごとに違い、財務会計基準機構(FASF)の作成要領も算定方法を脚注に書くのが適当としている。ただ、換算方法を記す会社の中央値は約1,210万円、記載のない会社は約1,150万円で差は小さく、全体の水準の目安には使える。
業態の差は一部だけ、同じ業態の中に4倍の開き
パートを含めて業態別の中央値を並べると、図の業態の中では宅配・持ち帰りの約2,425万円が群を抜く。4社とも1,860万〜3,068万円で、図のほかの業態の中央値をいずれも上回る。社数が2社のため図から外したファストフードも、日本マクドナルドホールディングスが約2,461万円、モスフードサービスが約2,711万円と高い。
残る業態は、ファミリーレストランの約1,046万円からカフェ・喫茶の約1,453万円までに並ぶ。専門店から居酒屋までの6業態は1,189万〜1,245万円で、差は60万円に満たない。95社全体でも、中央の半分は約1,062万〜約1,436万円の範囲に入る。
業態の中の開きは、これよりずっと大きい。居酒屋18社は434万〜1,974万円、ラーメン・中華13社は947万〜2,024万円に散らばる。業態を選んだ時点で生産性の水準が決まるわけではなく、同じ業態でも会社によって4倍以上の差がある。
色:列の中で数字が大きいほど濃い青
| 企業 | 業態 | 決算期 | 売上高(億円) | 従業員+臨時(人) | 1人当たり(万円) |
|---|---|---|---|---|---|
| B-R サーティワンアイスクリーム | カフェ・喫茶 | 2025年12月期 | 343 | 301+578 | 3,900 |
| ハークスレイホールディングス | 宅配・持ち帰り | 2026年3月期 | 524 | 753+956 | 3,068 |
| 壱番屋 | 専門店 | 2026年2月期 | 655 | 1,298+1,009 | 2,840 |
| モスフードサービス | ファストフード | 2026年3月期 | 1,028 | 1,323+2,468 | 2,711 |
| シルバーライフ | 宅配・持ち帰り | 2025年7月期 | 149 | 336+245 | 2,568 |
| ホットランドホールディングス | 専門店 | 2025年12月期 | 510 | 1,099+7,012 | 629 |
| テンアライド | 居酒屋 | 2026年3月期 | 121 | 261+2,266 | 479 |
| 伸和ホールディングス | 居酒屋 | 2026年3月期 | 67 | 137+1,408 | 434 |
| 銀座ルノアール | カフェ・喫茶 | 2026年3月期 | 83 | 151+1,889 | 409 |
| エスエルディー | 専門店 | 2026年2月期 | 37 | 137+820 | 382 |
出典:COVERSの上場外食データ(決算短信・有価証券報告書)から算出
上位と下位の違いは、業態より人員の構成に表れている。上位5社はいずれも臨時雇用者が従業員数の2倍未満で、下位5社は約6倍から12.5倍にあたる。下位には居酒屋と専門店、カフェ・喫茶が並び、上位の壱番屋やB-R サーティワンアイスクリームと同じ区分の会社も入っている。
1人当たりの差は、1店の売上と人員の釣り合いで決まる
1人当たり売上高は、1店当たりの売上高を1店当たりの人員で割った値に近い。売上の大きい店でも人を多く置けば1人当たりは伸びず、売上が小さくても少人数で回せば高くなる。
色:列の中で数字が大きいほど濃い青
| 業態 | 1店当たり売上高(百万円) | 1店当たり人員(人) | 算出できた社数 |
|---|---|---|---|
| 宅配・持ち帰り | 34 | 1.5 | 3 |
| カフェ・喫茶 | 65 | 6.7 | 4 |
| 居酒屋 | 78 | 7.0 | 17 |
| ラーメン・中華 | 80 | 8.0 | 13 |
| 牛丼・定食 | 85 | 6.5 | 7 |
| ファミリーレストラン | 103 | 8.8 | 4 |
| 多業態 | 119 | 10.2 | 8 |
| 専門店 | 130 | 9.9 | 7 |
| うどん・そば | 133 | 11.2 | 3 |
| 焼肉・ステーキ | 142 | 12.1 | 6 |
| 寿司 | 254 | 23.4 | 5 |
出典:COVERSの上場外食データ(決算短信・有価証券報告書)から算出
宅配・持ち帰りは1店当たり売上高が約3,400万円と表で最も小さいが、人員も1.5人と少ない。寿司は1店当たり約2億5,400万円と最大で、人員も23.4人と最も多い。その結果、寿司の1人当たりは全体の中央値とほぼ同じになる。店舗数はフランチャイズ店を含む会社と含まない会社があり、人員には本社部門も入るため、業態間の大小を見る参考値として扱う。
自店と比べるなら、人時売上高と業態の幅を併用する
店の生産性を月ごとや店舗間で比べるなら、労働時間で割る人時売上高のほうが精度は高い。食べログの飲食店向けコンテンツは、正社員からアルバイトまで全員の総労働時間で割るとし、飲食店でおおよそ3,000〜4,000円程度としている。飲食店ドットコム ジャーナルも一般的な飲食店の平均値を同じ範囲としており、いずれも業界の解説で統計ではない。
上場企業の1人当たり売上高と比べたい場合は、パート・アルバイトの勤務時間を1日8時間換算の人数に直し、年間売上高を正社員と換算後の人数の合計で割ると、同じ式の概算になる。得られた値は、全体の中央値ではなく自店の業態の幅に当てて見る。居酒屋なら434万〜1,974万円の幅のどこにいるかで、人員配置に余裕があるのか、少人数で回せているのかの見当がつく。
上場企業の値には本社部門の人員も含まれるため、数百万円の差に意味を持たせすぎないほうがよい。判断の材料になるのは、同じ業態の中で自店が下位に近いか上位に近いかと、その差が1店当たりの売上と人員のどちらから来ているかだ。2026年7月期・8月期決算の会社の有価証券報告書が出そろえば、2025年期の値を使った25社の一部が新しい期に入れ替わる。パートの比率が高い寿司(臨時雇用者は従業員数の中央値約7.0倍)や、同じ業態の中で434万〜1,974万円と幅の広い居酒屋の値が新しい期でどう動くかが、次に注目する数字になる。
出典
この記事に関連するサービス
一覧を見る関連記事

9月の上場外食、客数を開示した増収38社のうち16社が客数前年割れ
2026年9月の上場外食は、既存店売上高を開示した51社のうち41社が前年を上回った。一方で客数が前年を超えたのは46社中21社で、増収38社のうち16社は客数が前年割れだった。客数で伸ばした企業と単価で売上を保った企業を比べる。

飲食店の営業許可、新法で94万施設でも合計は横ばい
改正食品衛生法の飲食店営業許可は2025年3月末に94万施設余りと1年で22万増えたが、旧法の許可が同じだけ減り総数は約143万で横ばいだった。新規許可も出店数とは読めず、旧法の許可で営業する店は次の更新で新基準の審査を受ける。

8月の外食売上4.9%増も伸び鈍化、喫茶とパブ・ビアホールは客数が前年割れ
2026年8月の外食売上高は前年同月比104.9%と前年超えが続いたが、伸びは前年8月の108.4%から縮み、客単価の伸びは13か月で最小だった。喫茶は客数減を客単価で補い、パブ・ビアホールは客数・売上とも前年を割った。