飲食店の営業許可、新法で94万施設でも合計は横ばい
改正食品衛生法の飲食店営業許可は2025年3月末に94万施設余りと1年で22万増えたが、旧法の許可が同じだけ減り総数は約143万で横ばいだった。新規許可も出店数とは読めず、旧法の許可で営業する店は次の更新で新基準の審査を受ける。

厚生労働省の衛生行政報告例によると、改正食品衛生法による飲食店営業の許可は2025年3月末に946,451施設となり、1年で22万施設余り増えた。同じ1年で旧法の許可は21万施設余り減り、両方を合わせた数は約143万施設とほぼ横ばいだった。増えたのは店ではなく、2021年6月の制度改正後の許可への切り替えとみられる。2021年5月以前に許可を取った店は、次の更新で新しい基準の許可を取り直す番が来る。
新法の許可22万増は切り替え、合計は横ばい
飲食店営業の許可施設数は、旧法と改正法の二つの表に分けて公表されている。2024年度末(2025年3月末)は旧法が488,162施設、改正法が946,451施設だった。前年度末からの増減は、旧法が215,063施設の減少、改正法が222,468施設の増加で、ほぼ見合っている。
色:0より高いほど濃い橙、低いほど濃い青
| 区分 | 2023年度末 | 2024年度末 | 1年の増減 |
|---|---|---|---|
| 旧食品衛生法の許可 | 703,225施設 | 488,162施設 | -215,063施設 |
| 改正食品衛生法の許可 | 723,983施設 | 946,451施設 | +222,468施設 |
| 両表の合計 | 1,427,208施設 | 1,434,613施設 | +7,405施設 |
二つの表を足すと、2023年度末は1,427,208施設、2024年度末は1,434,613施設で、増加は7,405施設、率にして0.5%にとどまる。旧法の表には、両年度とも奈良県分(奈良市分を除く)が含まれないという注記があり、合計は全国の正確な総数ではない。それでも収録範囲は両年度で同じなので、増減の大きさをつかむ目安にはなる。
改正法の許可の伸びだけを見て「飲食店が急増した」と判断すると、商圏の競争を大きく見誤る。出店や撤退を考える材料として使うなら、二つの表を合わせた水準を見るのが妥当だ。
新規許可28万件は出店数ではなく、切り替えを含む
年度中の動きも、同じ読み違いが起きやすい。2024年度の改正法の表では新規許可が285,784施設、廃業が62,116施設で、差は22万施設を超える。一方、旧法の表の新規許可は1施設しかなく、新しい許可はほぼ改正法の側で出ている。
色:列の中で数字が大きいほど濃い青
| 年度・法区分 | 新規許可 | 廃業施設数 |
|---|---|---|
| 2023年度・旧法 | 169施設 | 155,230施設 |
| 2023年度・改正法 | 299,037施設 | 57,209施設 |
| 2024年度・旧法 | 1施設 | 138,226施設 |
| 2024年度・改正法 | 285,784施設 | 62,116施設 |
大阪府は、2021年6月1日以降に許可を継続する場合も、府の条例の設備基準を満たしたうえで新規申請の手続きが必要だと案内している。旧法の許可を持つ店が期限を迎えて改正法の許可を取り直すと、改正法の表では新規許可に数えられるとみられる。新規許可から廃業を引いた差を、新しく開いた店の数とは読めない。
廃業の数も、閉店件数とは一致しない。旧法の表の脚注によると、旧法の施設が改正法の許可を取った場合は原則として廃業に含めないが、一部の自治体はシステムの都合で含めている。旧法の営業をやめて別の営業として許可を取り直した施設も、廃業に数える。
2021年5月以前の許可は、次の更新で新基準に移る
自店に直接かかわるのは、旧法の表に残る48万施設余りの側だ。横浜市は、2021年5月31日までに取った許可は許可証に書かれた期限満了日まで営業でき、次の更新の際に新法に基づく許可を取ると説明している。大阪府も、期限満了時に同じ営業を続ける場合の手数料には更新手数料を適用するとしている。
つまり、旧法の許可で営業している店は、期限が来た時点で改正法の施設基準による審査を受ける。大阪府の案内では、経過措置の期間中に行える営業は旧法の許可で認められた範囲に限られる。厨房の改装や提供内容の拡大を考えている店は、許可の期限と時期を合わせて保健所に相談すれば、工事と申請を一度にまとめられる可能性がある。施設基準は都道府県などの条例で定まるため、具体的な要件は所管の保健所で確かめる必要がある。
店を丸ごと買うなら、2023年12月13日以降は許可の取り直し不要
居抜きでの店舗の売買や事業承継を考える経営者にとっては、手続きの変化も大きい。東京都保健医療局によると、2023年12月13日以降に営業の全部を譲り受けた場合は、新たな許可申請をせず、地位の承継届で営業者を変更できる。それ以前の譲渡では、譲渡人の廃業届と譲受人の新規申請が必要だった。
2023年12月12日以前の譲渡
- 譲渡人が保健所に廃業届を出す
- 譲受人が事前に新規の営業許可を申請する
2023年12月13日以降の譲渡(営業の全部)
- 譲受人が地位の承継届を出せば新規申請は不要
- 譲渡契約書など譲渡を証する書類を添付する
- 保健所が原則として立ち入り、業務の状況を調べる
承継の対象は営業の全部を譲る場合に限られ、複数の厨房区画の一部だけを譲るような場合には使えない。届け出には譲渡契約書や覚書など、譲渡の事実と意思がわかる書類が要る。譲受人は衛生管理の責任も引き継ぎ、許可施設では原則として保健所が立ち入って業務の状況を調べる。
次に見るのは2025年度の旧法の表と、自店の許可期限
次に注目するのは2025年度の結果だ。旧法の表がどこまで減り、二つの表の合計が横ばいを保つかを見れば、許可の切り替えを除いた飲食店の数の動きをつかみやすくなる。自店については、許可証に書かれた期限を確かめ、更新と厨房の改装や提供内容の拡大を同じ時期に合わせるかどうかが、当面の判断の分かれ目になる。
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