フードロスは「どこで残ったか」で減らす 仕込み・発注・盛り付けの直し方
外食産業の食品ロスは2024年度に70万トンと2年続けて増え、事業系の30%を占めた。廃棄を未使用の食材、売れ残った仕込み、客の食べ残しに分けて記録すれば、発注・仕込み・盛り付けのどこを直すかが決まる。外食の事例から減らす手順を示す。

環境省が2026年6月30日に公表した推計によると、2024年度の事業系食品ロス237万トンのうち、外食産業は70万トンと30%を占めた。外食産業は2022年度の60万トン、2023年度の66万トンから2年続けて増えており、事業系全体は2012年度以降減少傾向にあるが、資料は「特に外食産業は増加傾向」と書いている。消費者庁の食品ロス削減ガイドブックは、作りすぎや食べ残しには食材の無駄に加えて処分費用もかかると指摘する。減らす近道は、廃棄を「使わなかった食材」「売れ残った仕込み」「客の食べ残し」に分けて記録し、段階に合った工程だけを直すことだ。発注量を一律に絞ると、原因が仕込みや盛り付けにある場合は廃棄が減らず、品切れだけが増えかねない。
廃棄は残った段階で3つに分けると、直す工程が決まる
廃棄の段階が違えば、直す工程も、照らし合わせる販売データも違う。環境省の食品ロスポータルサイトは、外食産業の発生要因として食べ残しと仕込みロスを挙げ、対策に調理ロスの削減と提供サイズの調整を示している。店の記録も、この区分に未使用食材を加えた3段階で分けると扱いやすい。
| 残った段階 | 記録する項目 | 直す工程 | 照らし合わせる販売データ |
|---|---|---|---|
| 未使用の食材 | 品名、数量、納品日、期限までの日数 | 発注量、仕入れ単位 | 納品間隔中の販売数、予約数 |
| 売れ残った仕込み | 料理名、数量、仕込み時刻、残った時間帯 | 営業前の仕込み量、追加調理の運用 | 料理別の販売数、曜日、営業区分 |
| 客の食べ残し | 料理名、残量の目安、注文時の量の選択 | 盛り付け量、サイズの設定 | 料理別の注文数、団体客の有無 |
記録は、品名、数量、廃棄日、段階、理由の5項目を1枚にまとめれば足りる。重量と個数は混ぜて合計せず、同じ食材では単位をそろえる。骨や殻などの食べられない部分は、環境省のポータルサイトが食品ロスを本来食べられるのに捨てられる食べ物と定義しているため、分けて記録する。理由が特定できない廃棄は「不明」として残し、発注ミスと決めつけない。記録は担当者の評価ではなく、次の数量を決める材料として使う。
仕込みと発注は、予約数と販売数から量を決める
仕込み済み料理が残るなら、営業前に作る量を減らし、営業中に追加する分で調整する。農林水産省の令和元年度白書によると、ナゴヤキャッスルのブッフェレストランは、過去の予約人数ごとの食材使用量をデータ化して仕入れ量と仕込み量を把握している。廃棄物の排出量も記録し、増えたときは要因を分析している。個人店で取り入れるなら、品目を絞って予約数・販売数と廃棄量を同じ表に記録する方法が考えられる。
消費者庁のガイドブックによると、焼肉なべしま与次郎本店は、食べ放題では客数や時間帯を見て料理の補充を止め、宴会では予約時に参加者の構成を聞いて料理の量を調整している。営業中に追加調理できる時間と注文の入り方を見れば、事前に用意する量を決めやすい。
使わなかった食材が繰り返し余るなら、直すのは発注だ。使える在庫、次の納品までの販売見込み、仕入れ単位を並べて量を決める。売上金額は単価の違う料理が混ざるため、数量の判断には料理別の販売数を使う。比べる際は曜日、営業区分、予約の有無をそろえ、イベント営業と通常営業を同じ平均に入れない。予約客の情報を使う場合も、人数などの集計だけを廃棄の記録に書き写す。
食べ残しは、客が量を選べるメニューで減らす
発注と仕込みを直しても食べ残しが続く料理は、盛り付けと注文時の選択肢を見直す。環境省のポータルサイトは、小盛りや小分けのメニューを食べ残しの削減策に挙げている。消費者庁のガイドブックによると、株式会社アレフは、店舗の調査でご飯が食べ残しの約8割を占めると分かり、小盛を選べるようにした。VIGNETTE(岡山県)は、コース料理の内容を減らせる旨を店舗内に掲示し、減らした場合の金額も記載している。
量の選択肢を増やすときは、注文の受け付けと厨房で区別できるか、量と価格の関係を客に説明できるかが運用の分かれ目になる。
一品ずつ変え、廃棄と品切れの両方で効果を測る
見直しは、廃棄金額が大きい品目からではなく、記録がそろい、販売数との対応が見え、量を変えやすい品目から始める。削減の目標を置く場合も、廃棄量だけでなく品切れや販売数を同じ表で見ると、量を絞りすぎたかどうかに気づける。
- 段階を記録する2〜4週間、品名・数量・段階・理由を毎日つける
- 品目を1つ選ぶ同じ段階で繰り返し残り、量を変えやすい品目を選ぶ
- 段階に合う工程を変える未使用は発注、売れ残りは仕込み、食べ残しは盛り付けを変える
- 変更前後を並べる変えた品目と営業条件を記録し、廃棄量・品切れ・販売数を比べる
- 品切れを出さずに量を変えられる品目がある店は、その一品から始める。変更前後で廃棄量が下がり、販売数が落ちていなければ、次の品目へ広げる
- 追加調理や盛り付けの手間が現場の余力を超える店は、数量の微調整より、メニュー構成や提供サイズの変更を先に検討する
出典
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