高校生バイトは片づけ込みで22時前に退勤 シフトで外せない時間の線
18歳未満を午後10時以降に働かせると、閉店作業の数分でも労働基準法違反になる。飲食店は業種の適用除外に入らず、36協定や保護者の同意でも外れない。退勤時刻と1日8時間・週40時間の上限をシフトでどう守るかを示す。

閉店が午後10時の店で、高校生アルバイトに閉店作業まで任せていると、片づけが数分延びただけで労働基準法違反になる。労働基準法第61条は満18歳未満を午後10時から午前5時まで働かせることを禁じ、違反には6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金がある(第119条)。飲食店は第61条第4項の適用除外に入らず、本人や保護者の同意でも外れない。採用時にそろえるのも親の同意書ではなく、年齢の証明と労働条件の書面だ。18歳未満のシフトは「片づけ込みで22時前に退勤」「他の店も含めて1日8時間・週40時間以内」の2本の線で組むことになる。
18歳未満は片づけ込みで22時前に上がらせる
基準は学年ではなく年齢だ。厚生労働省のリーフレット(令和8年4月版)は満18歳未満を「年少者」とし、アルバイトでも労働基準法が適用されると説明している。同じ高校3年生でも、18歳の誕生日を過ぎれば深夜の制限から外れ、誕生日前なら22時以降は入れられない。
業種ごとの適用除外は飲食店には使えない。第61条第4項が深夜の禁止から外すのは、労働基準法の別表第一のうち農林(第6号)、畜産・水産(第7号)、保健衛生(第13号)の事業などで、飲食店は第14号に分類される。note「飲食店の社長へ」も同じ整理をしている。業種を問わない例外のうち、ふだんの営業で問題になりうるのは2つだ。交替制で使う満16歳以上の男性(第1項ただし書)と、交替制の事業が行政官庁の許可を受けて午後10時30分まで働かせる場合(第3項)で、許可は届出では足りない。第4項は第33条第1項の場合も除外しているが、これは災害など臨時の必要があるときに限られ、ふだんの繁忙や欠勤の穴埋めには使えない。交替制の例外に頼るなら、自店の勤務の組み方が当てはまるかを事前に所轄の労働基準監督署へ相談しておく。
店にとっての意味は、上がり時刻の決め方が変わることだ。22時閉店の店で閉店直前に上がる予定を組んでも、レジ締めや清掃が長引けば22時を超える。上がり時刻を閉店より十分前に置くか、18歳未満を閉店作業の担当から外すかの二択になり、どちらを選べるかは、閉店時に18歳以上を何人残せるかが判断の条件になる。
36協定があっても1日8時間・週40時間は超えられない
第60条第1項は、時間外・休日労働の協定(第36条)を18歳未満には適用しないと定めている。店が36協定を結んでいても、繁忙日に18歳未満の勤務を1日8時間より延ばすことはできない。
| 項目 | 上限・決まり | 根拠 |
|---|---|---|
| 深夜 | 午後10時から午前5時までは働かせられない | 第61条第1項 |
| 深夜の例外 | 交替制の事業が許可を受けた場合に限り午後10時30分まで | 第61条第3項 |
| 労働時間 | 1日8時間・1週40時間まで。時間外・休日労働は不可 | 第32条、第60条 |
| 他の店との掛け持ち | 労働時間は事業場が違っても通算する | 第38条第1項 |
| 休憩 | 労働時間が6時間を超える日は45分以上 | 第34条 |
掛け持ちしている高校生は特に注意がいる。第38条第1項は、事業場が違っても労働時間を通算すると定める。他の店で働いた時間と自店の時間を足して1日8時間を超えれば、自店の勤務が短くても上限を超える。採用時と学期の変わり目に、他のアルバイトの有無と曜日ごとの勤務時間を本人から聞き取っておくと、上限を超える組み方を避けやすい。
変形労働時間制も18歳未満には原則使えない。例外は、1週40時間の範囲で1日を4時間以内に短くし他の日を10時間まで延ばす場合などに限られる(第60条第3項)。週末だけ長く入れたい場合も、この条件の内側で組むことになる。
契約は本人と結び、年齢を示す公的な書面を店に置く
採用時に整える書類は、親の同意書ではなく年齢の証明と労働条件の書面だ。第58条は親権者や後見人が未成年者に代わって労働契約を結ぶことを禁じており、厚生労働省のリーフレットも契約は本人が結ぶと説明している。親権者の同意書が条文で求められるのは、労働基準監督署長の許可を受けて働く中学生以下の児童の場合(第57条第2項)だ。
高校生について第57条第1項が求めるのは、年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付けることで、リーフレットは「公的な書面」と表現している。労働条件のうち特に重要な6項目は、原則として書面で示す(第15条)。契約期間、有期契約を更新する場合の基準、就業場所と従事する業務、始業・終業時刻や休憩・休日、賃金の決め方と支払時期、退職(解雇の事由を含む)だ。本人が希望すれば、メールやSNSのメッセージでもよい。
保護者への連絡を店の方針として行うことは自由だが、法令上の書類の代わりにはならない。採用時の書類一式を、年齢証明と労働条件の書面の2点を軸にそろえておけば、監督署の調査を受けたときにも説明しやすくなる。
毎月のシフト表を打刻と並べて点検する
予定表では22時前の上がりでも、打刻が22時を過ぎていれば第61条の問題になる。毎月の締めで、予定と打刻を並べて次の順に点検する方法が使える。
- 誕生日シフト対象日に満18歳に達しているかを生年月日で見る
- 退勤時刻片づけを含めた退勤が午後10時前か、開始が午前5時以降か
- 1日と1週の実働他の店の勤務も足して1日8時間・1週40時間以内か
- 休憩6時間を超える日に45分以上の休憩を入れているか
- 打刻との差予定より退勤が遅れた日がないかを打刻データで見る
点検で目を向けたい数字は、18歳未満の打刻上の退勤が22時の直前に集中している日数だ。そうした日が毎月続くなら、上がり時刻の前倒しか閉店作業の担当替えを検討する余地がある。交替制の許可に当たるかなど個別の判断は、所轄の労働基準監督署か顧問の社会保険労務士に相談できる。監督署の閉庁後の平日夜や土日・祝日は、厚生労働省委託の「労働条件相談ほっとライン」(0120-811-610)も案内されている。
出典
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