FC加盟は料率より、支払総額・売上見込み・出口の費用で比べる
FC加盟の損得は、ロイヤルティの料率より、別途費用を含む毎月の支払総額、売上見込みの確かさ、やめるときに残る負担で決まる。開示書面での裏づけ方、テリトリーと売上予測の読み方、賃貸借やリースまで及ぶ終了時の費用を整理した。

フランチャイズ(FC)加盟の損得を分けるのは、ロイヤルティの料率よりも、毎月の支払総額、それをまかなう売上の見込み、やめるときに残る負担の3つである。公正取引委員会・フランチャイズガイドラインは、中途解約の条件が曖昧だと違約金の額が見通せず、解約が事実上難しくなると指摘する。加盟店は本部から独立した事業者で、契約の負担は自分の店が負う。料率が低い本部でも、別途費用や店舗の賃貸借まで含めると、比べる順位は入れ替わりうる。売上の見込みも、近隣出店の条項と予測の根拠しだいで崩れうる。
口頭の説明は、開示書面と契約書案のどこにあるかで裏づける
説明会で聞いた条件のうち、比べる材料になるのは書面で裏づけられるものだけである。中小企業庁・特定連鎖化事業についてによると、中小小売商業振興法の対象となる本部には、契約前の書面交付と説明が義務づけられている。ただし同庁は、飲食店などで商品の供給が契約の条件になっていない場合は、この対象(特定連鎖化事業)に当たらないとしている。飲食のFCでは、法定の開示書面が交付されない本部もあるということだ。同庁は、対象に当たらない本部でも、重要な事項を事前に書面で示すことを勧めている。
公正取引委員会のガイドライン(最終改正2021年4月28日)は、独占禁止法上の問題を防ぐ観点から、本部が開示することが望ましい事項を8つ挙げる。法定の書面がない本部と話すときも、この8項目が比べる軸になる。
| 開示が望ましい事項 | 書面で見る箇所 |
|---|---|
| 商品等の供給条件 | 仕入先と取引条件 |
| 指導の内容・方法・回数・費用 | 支援の範囲と負担額 |
| 加盟時に徴収する金銭 | 返還の有無と条件 |
| ロイヤルティの算定・徴収 | 金額・方法・時期 |
| 決済の仕組み・融資の利率 | 支払いの流れと借入の利率 |
| 損失の補償・経営不振時の経営支援 | 補償と支援の有無・内容 |
| 契約期間・更新・解除・中途解約 | 条件と手続き |
| 周辺での本部・他店の出店 | 条項と出店計画 |
この8項目について、口頭の説明しかないものと書面があるものを分けておくと、本部ごとの差が見える。
同じ料率でも、計算の土台と別途費用で毎月の支払いは変わる
比べるべきは料率ではなく、毎月本部に払う総額である。日本フランチャイズチェーン協会・加盟契約によると、ロイヤルティには売上高や粗利益に料率を掛ける歩合方式のほか、定額方式もある。同じ料率でも、売上高に掛けるか粗利益に掛けるかで金額は変わる。
同協会は、宣伝広告費や研修費用、設備のメンテナンス費用を、ロイヤルティとは別に徴収する本部もあると説明する。ロイヤルティだけで試算すると、別途費用のある本部が実際より安く見える。
- 計算の土台売上高か粗利益か定額か。粗利益なら何を差し引くか
- 料率・固定額料率と固定額を分け、支払時期をそろえる
- 別途費用宣伝広告・研修・設備メンテナンスの有無と金額
- 加盟時の金銭加盟金は契約が終わっても戻らない。保証金は精算後の残額が戻る
加盟時に払う金銭は、戻るかどうかを種類ごとに分けて見る。同協会の説明では、保証金は加盟店の債務を担保する金銭で、契約終了時に精算した残額が返還される。返還の条件と差し引かれる項目は、契約書案の記載で決まる。物件や内装、設備の費用は、本部の見積もりがどこまで含むかをそろえないと、総額を比べられない。
売上の見込みは、近隣出店の条項と予測の根拠で崩れうる
売上の見込みが崩れる典型は、近くに同じチェーンが出ることと、予測そのものの根拠が弱いことの2つである。テリトリーの記載があっても、近くに同じチェーンが出店しないとは限らない。日本フランチャイズチェーン協会によると、テリトリーには独占的な営業権を保証するものと、営業拠点を定めるだけのものがある。
独占的な営業権を保証
- 区域内での他店の出店が制限される
- 候補物件の商圏と区域の重なりを見る
営業拠点を定めるだけ
- 区域内の出店は制限されない
- 直営店・他加盟店の出店計画を聞く
売上予測も、何を根拠にした数字かで信頼度が変わる。公正取引委員会のガイドラインは、類似した環境にある既存店の実績など、根拠のある合理的な算定方法を求めている。既存店の平均から作ったモデルは、出店予定の店の予測とは別物である。示された数字がどちらなのか、予測に使った既存店が候補物件と似た環境なのかを、算定方法の説明で確かめたい。
やめるときの費用は、本部への違約金だけでなく賃貸借・リースまで及ぶ
出口の費用は、本部に払う違約金だけでは決まらない。日本フランチャイズチェーン協会は、店舗の賃貸借や設備のリースがFC契約の終了と連動する特約に注意を促している。FC契約を終えると、別の契約の残りの支払いや解約の条件が一緒に動く場合がある。
双方が合意して契約を終える場合も、負担がなくなるわけではない。日本フランチャイズチェーン協会・用語集か行によると、合意解約でも閉店処理や原状復帰、看板の撤去、貸与物の返還などの負担は、契約の内容に従って処理される。契約期間、更新の手続き、中途解約の申し出の時期、違約金の計算方法を並べると、何年目にやめればいくら残るかを試算できる。公取委が開示を望ましいとする項目には、経営不振になった場合の本部の経営支援の有無と内容も含まれる。やめる前に使える支援があるかも、書面で確かめておきたい。
加盟を決める前に、比べる各本部に同じ項目で書面の回答を求め、開業時の支払い、営業中の毎月の負担、終了時に残る義務の3つを同じ表に並べたい。回答のない項目は未確定の費用として残し、その分の資金の余裕を見ておく。個別の契約が有効か、どの条件で解約できるかは、契約書一式を専門家に見てもらって判断することになる。
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