理想の昼食代は900円未満が9割、それでも客は「満足」も重視
ファミリーマートの調査で、昼食客の89.8%が理想のランチ代を900円未満と答えた一方、68.8%が価格と味・量の満足の両立を重視した。400円前後の冷凍パスタや家計の外食減少と合わせ、ランチ営業の価格の決め方を考える。

昼食を外食や中食で週1回以上とる人の89.8%が、理想のランチ代を「900円未満」と答えた。ファミリーマートの調査(2026年9月25日公表)では、8割を超える人が昼食費を負担に感じたことがあり、同社の冷凍食品の売上は2026年7月まで前年比110.4%と伸びている。ただ回答者は安さだけを求めているわけではなく、価格を抑えつつ味や量にも満足できることを重視する人が68.8%いた。ランチ営業の店にとっては、値下げで追うより、900円前後の価格で「この内容なら納得できる」と思わせる設計が問われる局面だ。
昼食客は「安さ」と「満足」をほぼ同じ重さで見ている
この調査は、外食・中食を昼食として週1回以上利用する20〜69歳の500人に、2026年8月29〜30日にインターネットで聞いたものだ(マイナビニュース)。食品や外食の値上げを受け、56.6%が「以前よりできるだけ費用を抑えたいと思うようになった」と答えた。
昼食選びで以前より重視するようになった点は、「価格を抑えられること」が73.4%、「価格を抑えながら、味や量などにも満足できること」が68.8%で、差は5ポイントに満たない(図)。
出典:ファミリーマート プレスリリース 2026年9月(外食・中食を昼食に週1回以上利用する20〜69歳500人、2026年8月29〜30日調査)
店にとっての意味は、価格を下げられない場合でも、量や味の満足で選ばれる余地が残っていることだ。逆に、価格を据え置いたまま量を減らすような調整は、回答者が重視する「満足」の側を削ることになる。なお、この調査は冷凍食品を紹介する同社の発表の一部で、回答は500人分である。自店の客層に当てはまるかは、客単価と注文の傾向で照らし合わせたい。
比べられる相手は400円前後の冷凍パスタ、強みは「一品で完結」
昼食客が外食と比べる中食の価格は、900円を大きく下回る。ファミリーマートの発表に載る冷凍パスタは、ナポリタンが税込320円、生パスタのトマトクリームが税込378円、2026年9月29日発売のイカスミパスタが税込430円だ(いずれも軽減税率8%で表示)。4月28日に発売した生パスタ2商品は、発売後3か月連続で前年比2桁の伸びとなった。店舗のレンジに対応した商品は1年で14アイテム増え、45アイテムになった(食品産業新聞社ニュースWEB)。
価格差だけを見ると外食は不利に見える。しかし、トレー付き冷凍食品の魅力として「外食と比べて費用を抑えやすい」を挙げた人は32.8%で、「一品だけでランチが完結する」の38.0%を下回った。中食が選ばれる理由には、安さと並んで、1品で手早く食事が済む手軽さがある。
ランチの店がこの比較で取れる手は、価格で並ぶことではない。定食やセットで1食が完結すること、提供が早いこと、冷凍食品にない量や温かさを、価格の理由として示すことが選択肢になる。
家計の一般外食は8月に実質0.9%減、勤労者世帯は7.1%減
家計の支出でも、外食は伸びていない。総務省統計局の家計調査報告(2026年8月分、10月9日公表)によると、二人以上の世帯の消費支出は実質3.1%減で、9か月連続の減少となった。外食全体は実質0.4%増だが、これは学校給食の増加が押し上げたもので、飲食店の利用に近い一般外食は実質0.9%減だった。
色:0より高いほど濃い橙、低いほど濃い青
| 費目 | 二人以上の世帯の支出(円) | 二人以上の世帯 実質増減(%) | 勤労者世帯 実質増減(%) |
|---|---|---|---|
| 消費支出 | 310,975 | -3.1 | -6.8 |
| 食料 | 104,220 | -1.4 | -2.6 |
| 調理食品 | 14,563 | -2.6 | -4.0 |
| 外食(学校給食を含む) | 21,235 | +0.4 | -6.2 |
| うち一般外食 | 21,063 | -0.9 | -7.1 |
働く人がいる勤労者世帯では、一般外食が実質7.1%減と、二人以上の世帯全体より落ち込みが大きい。調理食品も実質4.0%減で、中食に支出が移ったという形にはなっていない。平日の昼食を外でとる層を客にする店ほど、この減少の影響を受けやすいとみられる。家計調査は世帯の1か月の支出で、昼食だけの数字ではないため、9月分以降も同じ向きが続くかで判断したい。
値上げを避けるなら、手間と時間の節約を価値として示す
価格以外の価値を打ち出した例に、ハイデイ日高(日高屋)がある。同社の発表(2026年10月9日付)によると、青野敬成社長は9月25日の発表会で、2024年12月に一度値上げして以降、主力メニューは値上げしていないと述べた。そのうえで、外食を控えて自炊にしても献立や買い出し、洗い物の手間と時間がかかるとして、それを省ける外食を「節約外食」として打ち出すとした。
この説明は仕事終わりのひとり飲みや家族の外食にも向けたもので、ランチに限った話ではない。それでも、昼食客が冷凍食品に「一品で完結する」手軽さを求めている点と重ねると、外食が価格以外で示せる価値の一つになる。同社も、近い将来の値上げは避けて通れないとしつつ、現状は踏ん張る道筋を検討したいと述べている。
ランチの価格を据え置くか見直すかは、原価の上昇幅と、値上げ後の客数の変化を店ごとに見て決めることになる。判断の目安は三つある。価格が900円を超えるなら、量・品数・提供の早さで中食との差を示せるか。据え置くなら、量を減らさずに原価を吸収できるか。そして家計調査の9月分以降で、勤労者世帯の一般外食の減少が続くかどうかだ。減少が続くなら、単品の値上げより、セットの組み方を変えて客単価を保つ方法も選択肢になる。
出典
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