中国客57%減、欧州5か国は訪日客の5% 英語の情報整備は予約記録で判断
2026年1~8月の訪日中国客は前年同期比56.7%減。減少の6割近くを埋めたのは韓国・台湾で、英仏独伊西の5か国は伸びても訪日客の約4.9%にとどまる。自店の記録で表記を見直す判断の材料と、英語で発信する情報の整え方を示す。

2026年1~8月の訪日中国客は290万4600人で、前年同期より56.7%減った。日本政府観光局(JNTO)の統計(7~8月は推計値)によると、訪日客全体は2.7%減にとどまり、韓国は21.2%増、台湾は19.8%増だった。中国客に代わって英国客が来たとする台湾の報道もあるが、英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペインの5か国は伸びても、合わせて訪日客の約4.9%にすぎない。中国客の多かった店ほど、欧州客に期待をかけるより、自店の予約や問い合わせの記録をもとに、どの客層に向けて表記や情報を整えるかを決める段階にある。
中国の減少約380万人に対し、韓国と台湾が約220万人増
中国の落ち込みを埋めているのは、主に韓国と台湾だ。JNTOの伸び率から前年同期の人数を逆算すると、中国は約380万人減った。これに対し、韓国は約130万人、台湾は約89万人増えた。欧州5か国の増加は合計で約9万人で、中国の減少の40分の1に満たない。
8月も中国客は41万8000人で、前年同月より59.0%少なかった。1~8月累計の56.7%減とほぼ同じ幅の減少が続いている。トラベルボイスによると、JNTOは8月の中国について、政府による日本への渡航の注意喚起の影響もあり、前年を大きく割り込んだと説明している。
全国では韓国・台湾の増加が中国の減少の6割近くを埋めたが、店ごとに補えるかは、韓国・台湾の客が来る立地かどうかで分かれる。
欧州5か国は累計で伸びたが、訪日客の約4.9%
Record China(2026年10月10日)によると、台湾の中時新聞網は10月7日、英紙インディペンデントの記事を紹介し、「中国人観光客が急減し、英国人が来た!」と報じた。ただ、JNTOの統計では、英国の1~8月累計は36万4800人で5.8%増にとどまり、8月は0.2%減と前年並みだった。
色:0より高いほど濃い橙、低いほど濃い青
| 市場 | 1~8月累計 | 8月 |
|---|---|---|
| 中国 | -56.7 | -59.0 |
| 英国 | 5.8 | -0.2 |
| フランス | 8.6 | 8.4 |
| ドイツ | 5.6 | -5.5 |
| イタリア | 4.4 | 15.1 |
| スペイン | 10.5 | 14.1 |
| 米国 | 6.1 | 1.5 |
累計では5か国とも前年を上回った。ただ規模は小さい。5か国の累計は134万2900人で、総数2762万6300人の約4.9%にあたる(ロシアや北欧は含まない)。中国の約10.5%の半分に満たない。
自店の売上への影響は、すでに来ている欧州客の数で決まる。
英語のAI検索は食の答えが具体性54%、店の基本情報が手がかり
生成AIに英語で尋ねると、食の質問に具体的な答えが返ったのは54%で、訪れる先の89%を下回った。合同会社56projectが2026年10月9日にPR TIMESで公表した調査で、Web検索付きの生成AIに英語で質問した結果だ。
調査は観光庁の「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくり」の14モデル地域を対象に、訪日旅行者を想定した英語の質問を各カテゴリー28問ずつ入力したものだ。同社は差が生じた原因を特定していないとしており、自店について当てはまるかは、自店の地域や業態を英語で質問して確かめるのが手早い。
同社は改善策として、飲食店や体験の情報を、旅行者の質問に答えられる形で整えることを挙げる。同社は観測や改善を支援する事業者で、これは同社の見方だ。
表記を残すか英語を厚くするかは、自店の予約記録で決める
全国の統計が示すのは国・地域別の人数までで、自店にどの国の客が来ているかは自店の記録で見るしかない。予約制の店なら、直近数か月の予約に占める国籍と、言語や食事制限の要望を集計すれば、中国語表記を維持するか、英語表記を厚くするかを自店のデータで決められる。予約を取らない店では、外国語の問い合わせの件数と言語を記録することが目安になる。
判断の分かれ目は、自店の1~8月の訪日客数が前年をどれだけ下回ったかだ。中国客の減少が大きく、韓国・台湾客も少ない店は、訪日客全体への依存を下げる方向で売上を組み直す選択肢がある。欧州や米国の客が一定数いる店は、営業時間・予約方法・対応言語を公式サイトや地図サービスに英語でそろえることから始められる。AIを使わない旅行者にも役立つ情報とみられる。
今後注目する数字は2つある。JNTOの月次推計値で、中国の前年割れ幅が縮むか、欧州5か国が累計の増加を保てるか。そして自店の国籍別の客数の前年比だ。全国で中国客が戻り始めても、自店の記録で戻りを確かめてから、中国語の表記や人員の配置を元に戻すかを決めればよい。
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