居酒屋倒産が1〜9月で最多167件 小さな店に大手の値下げと税率差の逆風
東京商工リサーチによると、2026年1〜9月の居酒屋倒産は167件で同期間の最多。9割が従業員5人未満の店だった。大手は税込110円のハイボールを出し、2027年4月からは持ち帰りとの税率差も9%に広がる方針だ。小さな店の判断材料を示す。

居酒屋の倒産が、9か月で2024年の年間件数の9割に達した。東京商工リサーチ(TSR)によると、2026年1〜9月の「居酒屋」倒産は167件で、1989年以降の同じ期間で最多となった。9割は従業員5人未満の店で、TSRは初めて年間200件を超える可能性にも触れている。小さな店を追い込んでいるのは、コスト高に加えて、大手チェーンの安い酒との価格競争だ。2027年4月からは持ち帰りとの税率差も広がる方針で、小規模店はドリンクの値付けと持ち帰りの扱いを決める時期に来ている。
倒産は前年の1.3倍、コロナ前の1.7倍に増えた
TSRの集計対象は負債1000万円以上の倒産だ。2026年1〜9月の167件は、前年同期の126件から32.5%増えた。コロナ禍前の2019年同期は98件で、167件はその約1.7倍(167÷98)にあたる。
TSRによると、年間の件数はコロナ禍の2020年に174件、2024年に185件だった。2026年は9月までで2024年の年間の9割を超えており、10〜12月に34件以上の倒産が出れば、年間で初めて200件を超える。
倒産の9割は5人未満の店、原因の9割は販売不振
TSRによると、1〜9月の167件のうち従業員5人未満の店は151件(90.4%)、原因が販売不振だったのは150件(89.8%)だった。2026年上半期を集計したTSRの7月の記事でも、118件のうち従業員10名未満が115件を占めていた。
TSRは背景として、食材と酒類の値上げに人件費や家賃の上昇が重なり、コストを吸収する余力の乏しい小・零細店が苦しくなっていると分析している。さらに、大手チェーンが酒類の値下げで集客するなか、小・零細店は酒類の価格競争に巻き込まれていると指摘する。販売不振による倒産が約9割を占めることについて、TSRは「他店との競争や値上げによる顧客離れが深刻化している」とみている。
大手は税込110円のハイボールで家飲みに対抗する
小規模店が向き合う価格競争の中身は、大手の動きを見るとわかる。串カツ田中を運営するユニシアホールディングスは、Impress Watchによると、9月10日から全国の店舗で一部のドリンクを値下げした。「無限ハイボール(トリスハイボール)」を常時出すようにし、平日限定だったサワーの価格を通常価格にした。いずれも期間限定ではなく続けるという。同社のプレスリリースによると、無限ハイボールは税込110円、対象のサワー・酎ハイは税込495円から税込319円になり、4割近い値下げになる。
同社は同じ9月に、幅広い層が利用しやすい店を目指して、既存店を約10年かけて順次改装する計画も発表した(Impress Watch、日本食糧新聞)。
値下げは串カツ田中に限らない。共同通信の配信記事(秋田魁新報、9月22日)は、ビールやハイボールを1杯100〜200円ほどで出す居酒屋が広がり、家飲みへの対抗策になっていると伝えた。TSRによると、2026年10月1日の酒税改正で減税されたビールも、大手チェーンは集客に使っている。一方、酎ハイは値上げとなった。客が比べるドリンクの相場は、大手の値付けにつられて下がる方向に動くとみられる。
2027年4月から、持ち帰りとの税率差は9%に広がる方針
消費税では、店内飲食が割高に見える状況が強まる方針だ。秋田魁新報によると、政府は2026年9月15日の臨時閣議で、飲食料品の税率を2027年4月から2年間、8%から1%に下げる大綱を決めた。NHKによると、外食は10%のまま据え置かれ、持ち帰りとの税率差は2%から9%に広がる。大綱には外食事業者のテイクアウト導入の支援も盛り込まれた。
TSRは、外食が割高に見える懸念に加え、小・零細店はテイクアウトへの対応でノウハウ、人員、投資の面に難しさがあると指摘する。法案は10月9日に閣議決定され、臨時国会に提出された(時事通信)。政府は12月12日の会期末までの成立を目指しており、税率や支援の中身は成立した法律で確かめる必要がある。
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