店内10%・持ち帰り1%へ、外食企業の57.8%が客数減を予想
2027年4月から2年間、持ち帰りと宅配は消費税1%、店内飲食は10%のままとなる法案が閣議決定された。JFの会員調査では57.8%が客数減を予想し、ファミレスは74.5%。店内比率と、2年後に元に戻せる手かが判断の軸になる。

2027年4月から2年間、持ち帰りと宅配の料理には消費税1%がかかり、店内で食べれば10%のままになる。政府が10月9日に閣議決定した法案が成立すれば、同じ料理でも売り方によって税率に9ポイントの差がつく。日本経済新聞によると、日本フードサービス協会(JF)の会員アンケートでは57.8%の企業が客数減を予想し、ファミリーレストランでは74.5%に達した。客席での売上に頼る店ほど、2年間の価格と投資をどう組むかが経営を左右する。
店内10%・持ち帰り1%で、税率差は9ポイントに広がる
日本経済新聞によると、法案は食料品の税率を2027年4月から2年間に限って8%から1%に下げ、減税を「臨時的な引き下げ」と明記した。外食は対象に入らない。国税庁のQ&Aは法案の成立を前提に、1%の対象を現行の8%の対象と同じ範囲とし、売り方ごとの税率を次のように示している。
色:列の中で数字が大きいほど濃い青
| 売り方 | 税率(%) |
|---|---|
| 外食(店内飲食) | 10 |
| ケータリング等 | 10 |
| テイクアウト | 1 |
| 出前・宅配 | 1 |
| 有料老人ホーム等での飲食料品の提供 | 1 |
現行の軽減税率でも店内10%と持ち帰り8%の差はあるが、その差が2ポイントから9ポイントに広がる。本体1000円の料理に税をかけて計算すると、店内では1100円、持ち帰りや宅配では1010円となり、客が払う額に90円の開きが出る。客席を中心に売る店は、同じ料理が持ち帰りでは割安に見える状況で2年間営業することになる。
外食企業の6割弱が客数減を予想、ファミレスと居酒屋は7割超
日本経済新聞と食品産業新聞社によると、JFが会員410社に聞き204社が答えた調査で、2027年4月に客数が減ると見込む企業は57.8%だった。日本経済新聞によると、10%程度以上の減少を見込む企業も3分の1を超えた。
業態による差は大きく、ファミリーレストランとファストフードでは40ポイント以上の開きがある。税率の仕組みから言えるのは、店内飲食の売上比率が高い店ほど、9ポイントの差がかかる売上が大きくなることだ。
前例もある。日本食糧新聞によると、2019年の軽減税率導入で2%の税率差が生じた際、外食全体の来客数は一時的に5.4%減った。食品産業新聞社によると、協会は今回、当時の2ポイントを上回る9ポイントの差になることから、影響の大きさを懸念している。
影響は短期で終わらないとの見方が多い。日本経済新聞によると、客数減少を見込む118社のうち66.1%が、減税前の状況に戻るまで6カ月〜2年程度かかるとみる。この幅の上限は、減税の期間である2年と重なる。
2年限定の減税に、宅配へ動く大手と様子見の個店
減税は2年で終わる前提で、持ち帰りや宅配に投資するかどうかは企業ごとに判断が割れている。日本経済新聞によると、日本フードサービス協会の椋本充士会長は会見で「2年間のために何の投資をするか」が非常に悩ましいと述べた。
それでも先に動く大手はある。熊本日日新聞(共同通信配信)によると、すかいらーくホールディングスは8月13日の決算会見で、宅配専門の「ゴーストレストラン」を導入する考えを示した。実店舗を持たず、宅配サービスに出店する形である。
一方、小規模な店の多くは投資を決めかねている。DXマガジンが伝えたシンクロ・フードの調査は、飲食店ドットコム会員257件が答え、1店舗運営が68.9%を占める。投資計画を「現時点ではわからない」とした店が61.5%で、テイクアウトやデリバリー関連への積極投資を挙げた店は5.4%にとどまった。客足・売上のマイナスを予想した店は44.7%で、店内飲食の税込価格を変えないとした店は83.7%だった。
判断の軸は店内比率と、元に戻せる手かどうか
自店への影響は、売上に占める店内飲食の比率と、持ち帰り・宅配へ移った場合の粗利の差の2つで見積もれる。そのうえで、2年後に税率が戻ったときに元に戻せる手を選ぶかどうかが分かれ目になる。
選択肢は、店内価格を据え置いて客数減を受け止めるか、本体価格を下げて客数を守るか、持ち帰り・宅配の売上を伸ばすかに分かれる。本体価格の引き下げや宅配の設備投資は、2年後に戻すときの負担も合わせて考えたい。
準備の期限は近い。日本経済新聞によると、政府は会期が12月12日までの臨時国会での成立を目指す。成立から2027年4月の適用までの準備期間は長くない。食品産業新聞社によると、準備期間が限られ、システム改修の費用や作業負担を不安視する企業もある。
価格の見せ方は、業界の要望しだいで変わりうる。JFの9月11日の公表文は、外食も引き下げの対象にすること、税率差を設けるなら2027年4月から利用者の負担を軽くする策(例:プレミアム付き食事券)を講じることを求めた。総額表示に加えて「本体価格」+「税」の表記を事業者が選べるようにすることも求めている。表記が選べるようになれば、店内と持ち帰りの価格の見せ方を変える余地が生まれる。
税務上の扱いは、成立後の国税庁の資料と税理士への確認が前提となる。12月12日までの国会審議、表示の要望の扱い、2027年4月以降の月次客数が、判断を見直す材料になる。
出典
- 日本経済新聞「食品の消費税減税、外食『客数減る』回答6割弱 業界団体調査」2026年10月9日
- 日本経済新聞「食品消費税1%へ法案閣議決定 所得連動給付、30年度以降は年1回」2026年10月9日
- 食品産業新聞社ニュースWEB 2026年10月9日
- 国税庁「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げに関するQ&A」2026年9月
- 日本フードサービス協会「食料品の消費税率引き下げによる外食との税率差拡大について」2026年9月11日
- 日本食糧新聞「業界NEWS:消費税減税に強い危機感 食離れ防ぐ対策求める」2026年10月5日
- DXマガジン(シンクロ・フード調査)2026年10月7日
- 熊本日日新聞(共同通信配信)「すかいらーく、宅配店導入へ 消費減税で自宅飲食シフト」2026年8月13日
この記事に関連するサービス
一覧を見る関連記事

9月の上場外食、客数を開示した増収38社のうち16社が客数前年割れ
2026年9月の上場外食は、既存店売上高を開示した51社のうち41社が前年を上回った。一方で客数が前年を超えたのは46社中21社で、増収38社のうち16社は客数が前年割れだった。客数で伸ばした企業と単価で売上を保った企業を比べる。

上場外食の1人当たり売上高は中央値1,205万円、パートを除くと4倍近くに
上場外食95社の1人当たり売上高は、パートを人数に含めると中央値約1,205万円、含めないと約4,644万円。宅配・持ち帰りなど一部を除けば業態差は小さく、同じ業態の中の差が大きい。自店と比べるときの数え方も示す。

飲食店の営業許可、新法で94万施設でも合計は横ばい
改正食品衛生法の飲食店営業許可は2025年3月末に94万施設余りと1年で22万増えたが、旧法の許可が同じだけ減り総数は約143万で横ばいだった。新規許可も出店数とは読めず、旧法の許可で営業する店は次の更新で新基準の審査を受ける。