現金のみの店がキャッシュレスを入れるか、手数料と入金日で決める
キャッシュレス決済の主要カード手数料は、条件を満たす中小店なら約2.5%、満たさなければ3.24〜3.25%。入金も翌営業日から月3回まで幅がある。現金のみの店が導入を決めるための比べ方を示す。

経済産業省の国内指標で、2025年のキャッシュレス決済比率は58.0%、決済額は162.7兆円だった。現金のみの店がこの流れに乗るときの費用は、主要カードの対面決済で、中小店向けの条件を満たせば決済額の約2.5%、満たさなければ3.24〜3.25%だ。カード決済が月100万円なら、手数料は条件を満たして月2万5,000円前後、満たさないと月3万2,500円前後になる。売上が口座に入るのも、その日ではなく翌営業日から月3回の締めごとまで幅がある。導入するかどうかは、この手数料と入金の遅れを、店で実際に数えた「逃した客」と現金を扱う手間に照らして決めると、採算を読み違えにくい。
料率の差はサービスより、中小店の条件を満たすかで開く
主要カードの対面決済は、SquareもAirペイも、中小店向けの条件を満たせば約2.5%、満たさなければ3.24〜3.25%になる。サービスどうしの差は0.01〜0.02ポイントにとどまり、条件を満たすかどうかの差の方がずっと大きい。
Square「決済手数料」の主要カード対面2.5%は、年間キャッシュレス決済額3,000万円未満の場合の料率だ。Squareヘルプセンターによると、中小企業に該当し、上場企業や企業グループとの関連がないことも条件になる。条件を外れる場合や電子マネー・QRコードは3.25%〜で、手数料は税やチップを含む取引総額にかかる。
Airペイのカード通常料率は3.24%だ。決済手数料ディスカウントプログラムに通ると、主要カードは2.48%に下がる。中小企業に該当し上場会社でないこと、ブランドごとの年間決済額がVisaで2,000万円以下、Mastercardなどで1,000万円以下であることなどが条件で、ブランドごとに審査がある。電子マネー、QRコード、オンライン決済は対象外だ。
月100万円で計算すると、条件を満たす料率では月2万4,800〜2万5,000円、通常料率では月3万2,400〜3万2,500円で、その差は月7,500円前後になる。Airペイの割引は審査次第で、利用開始時から適用されるとは限らない。採算はまず通常料率で試算し、条件つきの料率が通れば上振れと考える方が安全だ。電子マネーやQRコードも受けるなら、決済手段ごとの料率を売上の構成比に掛けて合計する。
色:列の中で数字が大きいほど濃い青
| 事業者・決済手段 | 手数料率 | 税区分 | 適用の条件・注意 |
|---|---|---|---|
| Square・主要カード対面(条件つき) | 2.5% | 不課税 | 年間キャッシュレス決済額3,000万円未満の中小企業などに限る |
| Airペイ・主要カード(割引プログラム) | 2.48% | 非課税 | 中小企業でブランド別の年間決済額の上限内、審査に通った場合 |
| Square・条件外、電子マネー、QRコード | 3.25%〜 | 不課税 | 条件つき料率に当てはまらない決済 |
| Airペイ・カード、楽天Edy以外の電子マネー(通常) | 3.24% | 非課税 | 割引プログラムを使わない場合(iD・QUICPayなどの電子マネーは割引の対象外) |
| Airペイ・交通系電子マネー、楽天Edy | 3.24% | 税込 | 割引プログラムの対象外 |
| Airペイ・QRコード(COIN+以外) | 3.24% | 税込 | 割引プログラムの対象外 |
| Airペイ・COIN+ | 1.08% | 税込 | QRコードのうちCOIN+だけの料率 |
出典:Square「決済手数料」、Airペイ「費用・料金・手数料・端末」「決済手数料ディスカウントプログラム」(2026年10月10日閲覧)
税区分も決済手段で分かれる。Squareの手数料は不課税だ。Airペイはカードと楽天Edy以外の電子マネー(iD・QUICPayなど)が非課税の3.24%で、交通系電子マネー・楽天Edy・QRコード(COIN+以外)は税込3.24%になる。同じ3.24%でも経理上の扱いが違うため、仕訳は契約書類をもとに税理士に確かめておきたい。
入金はSquareが最短翌営業日、Airペイは月3回か6回
現金のみの店は、その日の売上がその日のうちに手元に残る。キャッシュレスを入れると、売上の一部は振込を待つお金に変わる。Squareヘルプセンター「Squareの振込スケジュールについて詳しく」によると、三井住友銀行とみずほ銀行の口座は翌営業日に振り込まれる。その他の金融機関は水曜締めで、同じ週の金曜にまとめて振り込まれる。
Airペイ「費用・料金・手数料・端末」によると、対面決済の入金はみずほ銀行・三菱UFJ銀行・三井住友銀行で月6回、その他の金融機関で月3回だ。ゆうちょ銀行は使えず、オンライン決済は月1回と別の扱いになる。どの銀行を振込先にするかで、入金の間隔が変わる。
Square
- 三井住友銀行・みずほ銀行の口座は翌営業日に振込
- その他の金融機関は水曜締め、同じ週の金曜にまとめて振込
- 銀行の休業日は翌営業日に繰り越し
Airペイ(対面決済)
- みずほ銀行・三菱UFJ銀行・三井住友銀行の口座は月6回
- その他の金融機関は月3回
- ゆうちょ銀行は使えない(オンライン決済は月1回)
店にとっての論点は、家賃・給与・仕入れ代金の支払日に、カード売上の入金が間に合うかどうかだ。売上が立った日と口座で使える日のずれは、月末の支払いが重なる店ほど資金繰りに響く。
逃した客は全国比率ではなく、店で数えた件数で測る
58.0%は国内の決済金額に占める比率で、来店客の58%がカードを使いたがっているという意味ではない。現金のみの店が失っている売上を、この数字から割り出すことはできない。店の判断に使えるのは、店で数えた数字だ。
数えるのは、一定期間に「カードは使えるか」と尋ねられた件数と、支払方法を理由に注文や来店をやめた件数の2つで足りる。記録するのは日付と件数だけにし、客の名前やカード情報は残さない。店の前で引き返した人のように、店員が気づけない分は件数に入れない。
客単価の差も効果とは限らない。現金客とカード客の単価を比べても、人数、来店時間、注文内容が違えば差はそれで説明できてしまう。導入後に客単価が上がることを、採算の前提に入れない方がよい。
判断は手数料と粗利の差、入金日、現金作業の3点で決まる
導入するかどうかは、増える粗利が手数料と端末の費用を上回るか、家賃や仕入れの支払日までに入金が間に合うか、現金作業がどれだけ減るかの3点で決まる。手数料率だけで決めると、採算を読み違えやすい。
粗利との比較で見落としやすいのは、もともと現金で払っていた常連がカードに切り替えた分にも手数料がかかることだ。採算に効くのは、新たに増えた売上から食材などの変動費を引いた粗利で、その粗利を全決済にかかる手数料と比べる。端末の費用は手数料とは別にかかる。Airペイは別途iPadかiPhoneが必要で、手持ちの機器が使えるか、レシートの印刷や通信の環境まで含めて見積もりたい。
現金作業の減り方も、費用として数えておく。釣銭の準備、レジ締め、銀行への入金にかかる時間や手数料は、導入前から記録しておくと比べやすい。ただし現金も受け続けるなら、これらの作業はなくならない。減った時間と実際に減った支出を分けて見ると、導入の効果を過大に見積もらずにすむ。
- 受ける決済手段を決める主要カードだけか、電子マネーやQRコードも受けるかで料率と税区分が変わる
- 店で逃した客を数える一定期間、カードが使えるか尋ねられた件数と、支払方法を理由にやめた件数だけを記録する
- 粗利と手数料を月額で並べる数えた件数から見込む粗利と、常連の切り替え分も含めた全決済の手数料・端末費用を比べる
- 入金日と支払日を並べる家賃・給与・仕入れの支払日に、カード売上の入金が間に合うかを銀行ごとに見る
- 会計の流れを試してから広げる取消し・返金、障害時の代わりの支払方法、店頭の表示を決めてから受け付けを始める
選択肢は、主要カードだけを受けて料率と経理を単純にする案と、電子マネーやQRコードまで広げて取りこぼしを減らす案に分かれる。広げるほど決済手段ごとに料率と税区分が分かれるため、件数を数えた期間に尋ねられた決済手段を見て、受ける範囲を決めるとよい。決済額が増えて年間の上限を超えると条件つきの料率から外れる点も、契約前に確かめておきたい。
出典
この記事に関連するサービス
一覧を見る関連記事

Airレジは月額0円でも機器13万円から、POSは注文の流れで選ぶ
Airレジの基本機能は月額0円でも、iPadとプリンター、ドロアの購入で合計13万680円(税込)から。スマレジのフードビジネスプランは月額1万5400円でモバイルオーダーまで含む。注文の流れで必要な範囲を決め、同じ条件で比べる方法を示す。

予約管理とモバイル注文は月額より「店に残る作業」で選ぶ
店内モバイルオーダーは2026年10月時点で月額17,600円から(Airレジ オーダー、税込・機器別)。減った作業が人件費に結び付かなければ費用が増えるだけだ。通常料金の総額と店に残る作業を、費用や連携など五項目で比べる。

来店1名55円の予約ページは必要か 無料の受付経路と月額台帳で比べる
月額0円・来店1名55円の予約ページが2026年8月に始まった。予約を受けるだけなら食べログやAirリザーブのフリーでも月額0円で持てる。55円が生きるのは独自の予約ページが欲しい店で、月額5,500円の台帳より安いのは月100名未満まで。