業務改善助成金は賃上げ前に申請、10月30日以降は10府県のみ
2026年度の業務改善助成金は、申請より前に上げた賃金を対象にしない。10月30日以降も申請できるのは岩手、京都など10府県で、期限が土日の7府県は窓口・郵送の締切が早まりうる。賃上げを生かす順序と、コース別の上限額、設備の発注時期を示す。

最低賃金が11月以降に上がる岩手、山梨、京都など10府県の飲食店は、その賃上げを業務改善助成金の条件にできる。厚生労働省「業務改善助成金」の申請期限は最低賃金の発効日の前日などで、10月までに最低賃金が上がる37都道府県では10月30日には期限が過ぎている。このうち期限が土日にあたる山梨、徳島、愛媛、大分、長崎、佐賀、京都の7府県では、窓口や郵送の締切が前の平日に早まる場合がある。申請より前に上げた賃金は対象にならず、POSなどの設備も交付決定まで発注できない。この10府県の店にとっては、申請・賃上げ・発注の順序を誤らないことが、助成を受けられるかどうかを分ける。
10月30日以降も申請できるのは10府県、期限が土日なら窓口締切に注意
2026年度の申請期間は9月1日から、店の所在地の最低賃金が発効する日の前日か11月30日の早い方までだ。厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金全国一覧」の発効日に当てはめると、10月30日以降も申請できるのは下の10府県になる。東京や大阪など、最低賃金が10月30日までに発効する37都道府県では、2026年度分の申請期限はすでに過ぎている。
色:列の中で数字が大きいほど濃い青
| 府県 | 最低賃金の発効日 | 申請期限 | 改定後の最低賃金(円) | 最低賃金の引上げ額(円) | 70円コースまでの差(円) |
|---|---|---|---|---|---|
| 山梨 | 11月1日 | 10月31日(土) | 1,113 | 61 | 9 |
| 徳島 | 11月1日 | 10月31日(土) | 1,103 | 57 | 13 |
| 愛媛 | 11月1日 | 10月31日(土) | 1,093 | 60 | 10 |
| 大分 | 11月1日 | 10月31日(土) | 1,096 | 61 | 9 |
| 長崎 | 11月2日 | 11月1日(日) | 1,087 | 56 | 14 |
| 佐賀 | 11月15日 | 11月14日(土) | 1,095 | 65 | 5 |
| 京都 | 11月16日 | 11月15日(日) | 1,180 | 58 | 12 |
| 岩手 | 12月1日 | 11月30日(月) | 1,090 | 59 | 11 |
| 熊本 | 12月1日 | 11月30日(月) | 1,092 | 58 | 12 |
| 沖縄 | 12月2日 | 11月30日(月) | 1,086 | 63 | 7 |
期限が土日にあたる府県では、窓口や郵送で出す場合の締切が前の平日に早まることがある。愛媛労働局「令和8年度業務改善助成金 制度改正について」は、期限の10月31日に対し、来庁・郵送の申請は10月30日17時15分必着としている。山梨、徳島、大分、長崎、佐賀(11月14日・土)、京都(11月15日・日)も期限が土日にあたり、窓口・郵送は前の平日が締切になる場合がある。電子申請で出すか、所在地の労働局の案内で締切を確かめたい。岩手、熊本、沖縄は11月30日(月)まで申請できる。表の右端は、事業場内最低賃金が改定前の最低賃金と同じ店が、法定の引上げに何円足せば70円コースに届くかを引き算で示したものだ。佐賀では5円、沖縄では7円の上乗せで届く。
最低賃金に合わせた賃上げも、申請の前に上げると対象外
厚生労働省「令和8年度業務改善助成金の一部変更のお知らせ」によると、賃金は申請より後に引き上げる必要がある。最低賃金の改定に合わせて上げる場合は、申請後から発効日の前日までに上げる。2025年度に認められていた、賃上げ後の申請はできなくなった。引上げは1回で行い、上げた後の金額を就業規則等に定めることも条件になる。
賃上げの対象と基準になる人にも条件がある。同省の案内では、事業場内最低賃金は雇用保険の被保険者で、雇入れ後6か月を経過した人で計算する。厚生労働省「業務改善助成金Q&A」の問21によると、上限額の人数に数える人は、被保険者であれば6か月未満でもよい。
助成額は投資額×助成率と上限の低い方、1人なら30万〜100万円
コースは50円、70円、90円の3つに再編された。申請できるのは、事業場内最低賃金が改定後の最低賃金を下回る事業所で、複数店舗の会社は事業所ごとに申請する。従業員がいない店は対象外だ。10府県で事業場内最低賃金が改定前の最低賃金と同じ店は、法定の56〜65円の引上げだけで50円コースの金額を満たす。
厚生労働省「令和8年度業務改善助成金のご案内」によると、助成率は引上げ前の事業場内最低賃金が1,050円未満なら4/5、1,050円以上なら3/4だ。支給額は、設備投資の額に助成率を掛けた額と、コースと人数で決まる上限額を比べた低い方になる。
色:列の中で数字が大きいほど濃い青
| コース | 通常の上限(万円) | 事業場規模30人未満の上限(万円) |
|---|---|---|
| 50円コース | 30 | 40 |
| 70円コース | 40 | 50 |
| 90円コース | 90 | 100 |
1人だけ上げる小さな店では、50円コースと70円コースで上限の差が10万円、70円コースと90円コースで差が50万円ある。たとえば50万円の設備に助成率4/5を掛けると40万円となり、通常の50円コースでは上限の30万円が支給額になる。上乗せする時給の総額と、増える上限額を比べてコースを選ぶことになる。事業場内最低賃金が1,050円未満の事業者は特例事業者となり、10人以上を上げる場合の上限区分も使える。
設備の発注は交付決定の後、待つ期間を資金計画に入れる
長野労働局「業務改善助成金について」は、交付決定の前に設備を発注・契約・納品・支払いすると助成対象外になると説明する。同局は対象の例にPOSシステムを挙げる一方、単なる経費節減や職場環境の改善は対象外としている。会計や仕込みのどの作業が短くなるかを、申請書で説明できる設備かどうかが分かれ目になる。自動車(特殊用途自動車を除く)は2026年度から対象外になった。
- 交付申請賃上げと設備投資の計画を労働局へ出す。府県ごとの申請期限まで
- 賃金の引上げ申請後、最低賃金の発効日の前日までに1回で上げ、就業規則等に定める
- 交付決定審査を経て通知が届く。設備の発注・契約はここから
- 設備の導入・支払い納品・支払い・賃上げを原則1月31日までに終える
- 実績報告・支給結果を報告し、審査後に助成金が支払われる
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