店舗改装の補助金、年内申請が分かれ目になる自治体の3制度
港区・宗像市・札幌市の3制度は、トイレや内装の工事に使える場合がある補助金で、申請の締切は2026年12月〜2027年1月、工事の期限は2027年2月末。交付決定前の着工は対象外で、先着順のため予算で早く終わることもある。

東京都港区・福岡県宗像市・札幌市の3制度は、飲食店の改装に使える場合がある補助金で、2026年12月から2027年1月にかけて申請の締切を迎える。港区は上限50万円でトイレ・空調・内装を幅広く対象にする。宗像市は新事業・販路開拓、生産性向上、人への投資の3枠の事業として行う改装に限り、修繕は対象外だ。札幌市は、外国人観光客を受け入れる環境を整えた飲食店に限り、和式トイレの洋式化を補助する。この3制度を取り上げるのは、改装の経費を補助の対象に含み、事業の期限が2027年2月28日にそろうからだ。交付決定より前に始めた工事は対象外、先着順で予算に達すれば締め切るという仕組みは3制度に共通し、他地域の店は、所在地の区市町村に同じ仕組みの制度があるかを見る目安になる。年明けに改装を考える店ほど、いつ申請するかで補助を受けられるかが決まる。
対象が広いのは港区、宗像市は市内発注で補助率2/3
3制度の基本の上限はいずれも50万円・補助率1/2で、違いは対象の広さ、補助率の上がり方、前提条件の3点にある。3制度で対象の範囲が広いのは港区立産業振興センターが案内する港区の制度で、来店客が使う空間か調理場の工事なら、トイレから壁紙、グリストラップまで1万円(税抜)以上の経費が対象になる。宗像市の募集要領は対象を3枠の事業に限り、修理・修繕や既存設備の撤去・廃棄の経費を対象外とする。その範囲の改装なら、市内の事業者に頼むと補助率が2/3以内に上がる。札幌市の概要は前提条件つきで、和式トイレの洋式化は多言語対応などを済ませた店に限られる。
| 制度(自治体) | 上限・補助率 | 改装で対象になる例 | 申請の受付 | 事業の期限 |
|---|---|---|---|---|
| クリーンな飲食店づくり応援補助金(港区) | 50万円・1/2 | トイレ・手洗い所、空調機、空気清浄機、壁紙、天井・床、グリストラップ | 2027年1月18日まで。50者程度・先着順 | 2027年2月28日までに支払いを完了 |
| がんばる中小企業者応援補助金(宗像市) | 50万円(経営革新計画の承認事業は100万円)・1/2以内(市内事業者への発注分は2/3以内) | 3枠(新事業・販路開拓、生産性向上、人への投資)の事業として行う改装。修理・修繕、撤去は対象外 | 2026年12月25日まで。先着順、予算上限で終了 | 交付決定日から2027年2月28日まで |
| 観光施設受入環境整備補助金・飲食店(札幌市) | 50万円・1/2 | 和式トイレの洋式化(多言語対応などを済ませた店に限る) | 2026年12月21日まで。上限に達し次第終了 | 交付決定日から2027年2月28日まで |
出典:港区立産業振興センター、宗像市募集要領、札幌市概要(2026年度)
どの制度も、使えるかは店の所在地で決まる。港区の場合、法人は本店登記地と店舗がともに区内にあり、資本金5,000万円以下または従業員100人以下で、区内で1年以上事業を続けていることなどが条件になる。個人事業者は、区内に飲食業の店舗があり、区内で1年以上営業していることが条件だ。宗像市は個人事業者に市内居住を求め、札幌市は市内で1年以上営業している飲食店を対象にする。
先着順は締切前に終わる、長野市は6月で受付終了
先着順の補助金は、公募期間の終わりより先に予算で締め切られることがある。長野市の「店舗改修緊急支援事業補助金」は、空調・照明・トイレなどの設備改修やレイアウト改修に、上限200万円・1/2以内を補助する制度だった。公募期間は2026年6月1日〜11月30日だったが、長野市物価高騰対策緊急支援パッケージ事業サイトは6月26日付で予算到達による受付終了を告げている。
表の3制度も同じ仕組みで受け付ける。港区は50者程度の先着順で、募集を終える場合はホームページで告知するとしている。宗像市は予算上限に、札幌市は補助金額の上限に達し次第、受付を終える。締切日まで余裕があるように見えても、申請を遅らせるほど受付終了に当たりやすくなる。
港区は1月18日締切でも、年内に申請しないと工事が詰まる
港区の制度は、見積りから入金まで区の案内で7つの段階を踏む(下の図では額の確定と請求を1つにまとめた)。区のページは、交付決定まで受理から1か月程度、額の確定と入金にもそれぞれ1か月程度かかるとしている。
- 見積り取得・整備前の写真申請書類に見積りと、設備導入前の状況がわかる写真を含める
- 交付申請2027年1月18日まで。オンラインまたは郵送(消印有効)
- 交付決定受理から1か月程度。この後に発注・施工へ進む
- 施工と支払い2027年2月28日までに支払いまで完了
- 実績報告最終締切は2027年2月28日(消印有効)
- 額の確定・請求・入金確定まで受理から1か月程度。請求受理から交付まで1か月程度
この目安どおりなら、1月18日に申請すると交付決定は2月中旬になり、2月28日の支払い期限まで10日ほどしか残らない。note(アトラス行政書士法人)も、1月18日に申請しても工事が間に合うとは限らないと書く。工事と支払いに1か月をみるなら、交付決定は1月中、申請は12月中が目安になる。
資金繰りの面では、工事代金をいったん店が全額払う前提で考える必要がある。同noteによると、費用は原則として先に支払い、補助金は後から入る。税抜100万円の工事なら補助は上限の50万円で、入金は実績報告の後になる。オンラインで申請すると実績報告と請求もオンラインに限られ、法人は商業登記電子証明書、個人事業者はマイナンバーカード等が要る。
契約・着工が交付決定より前なら補助の対象外
4つの制度はいずれも、交付決定の前に始めた工事を補助しない。港区は交付決定後に支払った経費に限り、宗像市も交付決定前の事業を対象外とする。札幌市の事業期間は交付決定日から始まり、長野市も交付決定前の着手を対象外としていた。
判断の分かれ目は、店の所在地と工事の時期の2つだ。港区で1年以上営業している店は、12月中に見積りと整備前の写真をそろえ、2月28日までに工事と支払いを終えられるかで使えるかが決まる。宗像市の店は、まず改装が3枠の事業に当たるか(修繕は対象外)を確かめ、当たる場合は市内の業者に発注すると補助率が1/2から2/3に上がる。札幌市の店は、多言語対応などを済ませているかが和式トイレの洋式化の前提になる。港区の残り枠は区の産業振興課経営支援係(03-6435-4620)で確かめられ、個別の経費が対象になるかは各自治体の公募要領と窓口の判断による。
出典
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