ゼンショー1兆円超えでも、すき家は営業利益62%減 規模の強みと限界
ゼンショーHDは売上高1兆2640億円で営業利益も8.4%増えた。一方、すき家は異物混入を受けた衛生対策と全店休業の費用、コメ・牛肉高が重なり営業利益が62%減った。規模が効いた場面と、その後の客数の戻り方を数字で示す。

国内外食で初めて売上高1兆円を超えたと日経ビジネス電子版が書くゼンショーホールディングスで、主力のすき家(海外を含むグローバルすき家)の営業利益が2026年3月期に62.0%減った(流通ニュース)。グループの営業利益は8.4%増えたが、すき家では異物混入を受けた安全衛生対策と全店休業の費用に、コメや輸入牛肉の値上がりが重なった。規模は、1部門が崩れても連結の増益を保つ力になった。一方で、1つのブランドの衛生事故の損失は規模では防げなかった。国内のすき家は2026年9月に既存店売上高108.4%、客数102.3%と前年を上回ったが、既存店売上高の伸びでは、月次を開示している上場外食51社のうち9社がすき家を上回った。
増収ははま寿司が引っ張り、すき家は利益が6割減った
2026年3月期は、売上と利益の伸びがセグメントで大きく分かれた。流通ニュースによると、連結の売上高は1兆2640億円で11.2%増、営業利益は814億円で8.4%増、親会社に帰属する当期利益は458億円で16.6%増だった。
色:0より高いほど濃い橙、低いほど濃い青
| セグメント | 売上高(億円) | 売上高の増減率(%) | 営業利益の増減率(%) |
|---|---|---|---|
| グローバルはま寿司 | 3203 | +28.9 | +25.4 |
| グローバルすき家 | 3145 | +6.3 | -62.0 |
| グローバル中食 | 2219 | +5.7 | +7.0 |
| レストラン | 1713 | +9.7 | +14.1 |
| グローバルファストフード | 1128 | +8.3 | -7.3 |
| 小売 | 770 | +1.2 | 営業損失 |
売上高は億円未満を四捨五入した。はま寿司は売上高が28.9%増え、営業利益も267億円と25.4%伸びた。すき家は売上高を6.3%伸ばしながら、営業利益は93億円にとどまった。主力の1部門の利益が6割減っても、グループ全体では増益を保ったことになる。複数の業態を持つ規模の強みは、まずこの点に表れた。
業態を多く持つ分、入れ替えも速い。流通ニュースによると、2026年3月期は1042店を出して1514店を閉じ、ロッテリアを転換した「ゼッテリア」を増やす一方、「瀬戸うどん」と「モリバコーヒー」は全店を閉めた。2店以上を営む店なら、店ごとの収益性と立地を基準に、閉店や別の業態への転換を検討する手がある。
すき家の減益は、休業と衛生対策の費用、コメ・牛肉高が重なった
すき家の落ち込みは、2025年3月末の全店休業から始まった。流通ニュースによると、国内の一部店舗でネズミなどの異物混入が起き、3月31日~4月3日に全店の営業を止めた。再発防止のため24時間営業を23時間に改め、清掃の時間を設けた。2025年4~6月は対策費用と休業中の諸費用を計上し、グローバルすき家は7億6800万円の営業損失を出した(前年同期は54億4500万円の黒字)。休業した日を含む4~6月の既存店売上高は0.6%減だった。
減益の理由として、資料は2つを挙げている。流通ニュースは、4~9月の大幅な減益を、安全衛生対策と全店休業の諸費用によるものと伝えた。通期については流通ニュースが、コメ価格の高騰と輸入牛肉・水産物の値上がりによるコスト負担を挙げている。この間、すき家は2025年9月4日から牛丼の並盛を480円から450円に下げた。値下げは11年ぶりで、マネー現代は、異物混入後の客離れが深刻で、客を呼び込むことが本当の狙いだとみている。
店にとっての意味は、衛生事故の損失が休業した数日の売上だけでは終わらない点だ。すき家では、清掃の強化や老朽化した店の計画的な改装といった対策の費用が、営業を再開した後も利益を押し下げた。1業態・1店で営む店なら、他の部門で損を補う手段がない。その場合、清掃や改装の費用は、事故が起きて休業と対策費が重なったときの損失と比べて判断することになる。
2026年9月、すき家は客数を戻したが、既存店の伸びは9社が上回った
国内のすき家の客足は、2026年9月には前年を上回った。すき家の月次によると、9月の既存店売上高は前年同月比108.4%、客数は102.3%だった。前年の9月は値下げの直後にあたる。すき家は2026年7月に、輸入牛肉の調達コストの上昇を理由に並盛を480円に戻しており(共同通信)、値上げの後も客数は前年を超えた。
色:100より高いほど濃い橙、低いほど濃い青
| 企業(月次の対象ブランド) | 既存店売上高(%) | 客数(%) | 客単価(%) |
|---|---|---|---|
| モスフードサービス(モスバーガー) | 115.3 | 106.7 | 108.1 |
| 日本マクドナルドHD(マクドナルド) | 110.0 | 103.3 | 106.5 |
| ゼンショーHD(すき家のみ) | 108.4 | 102.3 | 105.9 |
出典:各社の月次開示 2026年9月
ただ、すき家より既存店を伸ばした外食も多い。月次を開示している上場外食51社(2026年9月、各社の月次開示)のうち、既存店売上高ですき家の108.4%を上回ったのは9社だった。モスフードサービスは115.3%、サイゼリヤと幸楽苑は110.6%で、モスとマクドナルドは客数と客単価の両方ですき家を上回った。
一方、既存店売上高が前年を上回った41社のうち16社は、客数が前年を下回り、客単価の上昇で売上を保った。くら寿司やすかいらーくHD、木曽路などがこれにあたる。自店の売上が前年並みでも客数が前年を割っているなら、すき家のように価格を下げて客数を取りに行くか、客単価で利益を守るかの選択になる。どちらを選ぶかは、客数の減少が一時的か、続いているかで変わる。
今後の注目は、ゼンショーが8月7日の決算短信で2027年3月期の営業利益の予想を5月時点の920億円から1020億円に引き上げた前提が保たれるかだ。流通ニュースによると、引き上げはコメの価格が当初の想定を下回っているためで、2026年4~6月のグローバルすき家は既存店売上高が12.9%増え、23億7200万円の営業黒字に戻った。一方、2026年7月の値上げの時点で、すき家は円安による輸入牛肉の調達コストの上昇を理由に挙げていた(共同通信、7月3日)。コメの仕入れ値が下がり始めた店なら、値上げを据え置いて利益を厚くするか、価格を一部戻して客数を取りに行くかが次の判断になる。
出典
- 日経ビジネス電子版「外食「1兆円」が意味するもの」(2026年10月12日号)
- 日経ビジネス電子版「ゼンショーHD・小川洋平社長「売上高15兆円、私が現役で達成する責任ある」」
- 流通ニュース「ゼンショーHD 決算/3月期営業利益8.4%増、コスト増ですき家減益・はま寿司は好調」(2026年5月12日)
- 流通ニュース「ゼンショーHD 決算/4~6月増収減益、すき家の異物混入が響く」(2025年8月8日)
- マネー現代「すき家が苦渋の「牛丼値下げ」を決めた「やむを得ない事情」」(2025年8月31日)
- 共同通信「すき家、牛丼30円値上げ 8日から並盛480円に」(熊本日日新聞、2026年7月3日)
- 流通ニュース「ゼンショーHD 決算/4~6月増収増益、グローバルすき家の既存店売上高12.9%増」(2026年8月13日)
- 流通ニュース「ゼンショーHD 決算/4~9月既存店好調で増収も、すき家の異物混入の影響で減益」(2025年11月)
- ゼンショーホールディングス 2027年3月期 第1四半期決算短信(東証開示、2026年8月7日)
- ゼンショーホールディングス「すき家 月次売上高前年比」
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