酒税改正、ビールは1L26円減、缶・樽のサワーは20円増 店の原価と在庫申告
2026年10月1日の酒税改正で、ビールは1L当たり26円の減税、缶・樽詰めなど10度未満で出荷されるサワー・チューハイは20円の増税になった。1杯・樽1本の原価差と、在庫2,000L以上の店が11月2日までに出す申告を示す。

2026年10月1日の酒税改正で、ビールの酒税は1L当たり26円下がり、10度未満で出荷される缶・瓶・樽詰めのサワーやチューハイは20円上がった。20Lの生ビール樽なら1本520円の減税、樽詰め・缶の10度未満のサワーは500mlで10円の増税になる。店で10度以上の焼酎やウイスキーを炭酸で割る一杯は酒税が上がらない。生ビールの原価は軽くなり、樽詰め・缶のサワーを仕入れる店はその分の原価が重くなる。さらに、10月1日午前0時に増税対象の酒を2,000L以上持っていた店は、11月2日(月)までに税務署へ申告が要る。
ビールは減税、発泡酒・新ジャンル・サワーは増税
今回の改正で、ビール系飲料の酒税は1キロリットル(kL)当たり155,000円にそろった。財務省によると、2020年10月から3段階で進めた一本化の最終段階にあたる。同じ月に、チューハイなどの「その他の発泡性酒類」も80,000円から100,000円に上がった。
色:0より高いほど濃い橙、低いほど濃い青
| 区分 | 改正前(円) | 改正後(円) | 増減(円) | 350ml換算の増減(円) |
|---|---|---|---|---|
| ビール | 181,000 | 155,000 | −26,000 | −9.1 |
| 発泡酒(麦芽比率25%未満、10度未満) | 134,250 | 155,000 | +20,750 | +7.26 |
| 新ジャンル(10度未満) | 134,250 | 155,000 | +20,750 | +7.26 |
| チューハイ・サワー等(10度未満) | 80,000 | 100,000 | +20,000 | +7 |
出典:国税庁 酒税率一覧表(令和5年10月1日~令和8年9月30日、令和8年10月1日~)。350ml換算は1kL当たりの増減額の0.35倍(発泡酒・新ジャンルは改正前46.99円、改正後54.25円の差)
増減の額は、アサヒビール(5月29日発表)とサントリー(6月4日発表)が示した額と一致する。発泡酒のうち麦芽比率25%以上50%未満のものは、改正前から155,000円で変わらない。国税庁の手引によると、ハイボールも10度未満で出荷される発泡性のものは増税側に入る。一方、10度以上の焼酎やウイスキーは引上げの対象に入らないため、それを店で炭酸や割り材で割るサワー・ハイボールの酒税は変わらない。店で扱う銘柄がどの区分かは、納品書や缶の表示の品目とアルコール分で見分けられる。
酒税は生ビール樽1本で520円減、樽サワーは400円増
酒税の差を店の単位に直すと、ビールは1L当たり26円、500mlで13円、20L樽で520円の減税になる。10度未満で出荷されるサワー・チューハイは1L当たり20円、500mlで10円、20L樽で400円の増税だ。いずれも酒税だけの差で、消費税や卸の利幅は含まない。
色:0より高いほど濃い橙、低いほど濃い青
| 提供量 | ビール(円) | サワー・チューハイ等 10度未満(円) |
|---|---|---|
| 350ml | −9.1 | +7 |
| 500ml | −13 | +10 |
| 1L | −26 | +20 |
| 20L(樽1本) | −520 | +400 |
出典:国税庁 酒税率一覧表の1kL当たり税率の差(ビール26,000円、その他の発泡性酒類20,000円)を提供量に換算
業務用も対象に入る。アサヒビールは「樽ハイ倶楽部」などのその他樽詰酒類を価格改定の対象に挙げた。サッポロビールも「氷彩サワー」などのその他樽詰商品を増税の区分に入れている。樽でサワーを仕入れる店は、缶と同じく原価が上がる側にいる。
在庫2,000L以上の店は11月2日までに申告が要る
在庫にも税の調整がかかる。国税庁の手引によると、手持品課税は10月1日午前0時に流通段階にあった課税済みの酒について、新旧の税率の差を調整する制度だ。対象の販売業者等には「酒場・料飲店等を経営されている方も含みます」と明記されている。
- 在庫を数える10月1日午前0時の増税対象の酒(発泡酒・新ジャンル・10度未満のチューハイ等、10度未満で発泡性のない低アルコール蒸留酒類等)を全店合計で数える。10度以上の焼酎・ウイスキーは除く
- 2,000L以上なら申告申告書兼届出書を貯蔵場所の所轄税務署へ11月2日(月)までに出す
- 2,000L未満は届出で選べる期限までに届出をすれば申告できる。その場合は増税対象の酒を持つ全ての場所が申告の対象になる
- 差額を納付か還付増税分の課税額と、ビールなど減税対象の戻税額を差し引く。戻税額が多ければ還付、課税額が多ければ令和9年3月31日(水)までに納付
ビールの在庫が多くサワー類が少ない店は、2,000L未満でも届出をして申告すれば、差額が還付される可能性がある。逆にサワー類の在庫が多い店は、届出をすると納付が生じうる。個別の該当は、貯蔵場所を所轄する税務署で確かめられる。税の取り扱いは一般的な説明で、判断は税務署や税理士への確認が前提になる。
価格表は樽・缶のサワーの原価上昇から手当てする
樽詰め・缶のサワーやチューハイを仕入れる店が価格表で先に手を打つのは、それらの品目だ。1杯の増税は7〜10円で、売価を据え置けば原価率がその分だけ上がる。焼酎やウイスキーを店で割って出すサワー・ハイボールは酒税の影響を受けないので、急いで売価を動かす必要はない。ビールの減税分は、値下げに回すか利益率の改善に充てるかを選べる。どちらを選ぶかは、近隣店の価格と客層で変わる。
メーカーの納品価格も10月1日に動いた。アサヒ・サントリー・サッポロの3社は10月1日(サッポロは同日納品分)から生産者価格を改定したが、発表に1本当たりの改定額は載っていない。小売では、キリンの350ml缶のコンビニ想定価格が、一番搾りは237円前後から228円前後、氷結は185円前後から192円前後とされた(プライシーが日経新聞の5月20日の報道をもとに紹介)。想定の幅は税額の差に近い。業務用の納品価格がどこまで税額どおりに動いたかは、卸から届く10月分の請求書の単価で見極められる。
飲み放題プランの原価は、ビールと樽・缶のサワーの注文比率で増減が決まる。樽・缶のサワーの比率が高い店ほど、ビールの減税分ではサワーの増税分を埋めにくい。POSで品目別の販売数を出し、比率の高い品目から原価差を掛け合わせると、改定の優先順位がつけやすい。
価格表の見直しは、卸から届く10月分の納品単価と品目別の販売比率で順番を決めるとよい。単価の上がり幅が大きく、販売比率も高い樽・缶のサワーから売価や量を見直す。手持品課税は、11月2日(月)の期限までに、ビールとサワー類の在庫量の差で届出の要否を決める。
出典
- 財務省「酒税に関する資料」
- アサヒビール「酒税改正に伴う商品の価格改定について」(2026年5月29日)
- サントリーホールディングス「酒税の税率改正に伴う、酒類の一部商品の価格改定について」(2026年6月4日)
- サッポロビール「酒税税率改正に伴う価格改定について」(2026年6月4日)
- 国税庁「令和8年10月1日現在の手持品課税等対象酒類の納税申告等手続」
- 国税庁「酒税率一覧表(令和5年10月1日~令和8年9月30日)」(酒のしおり)
- 国税庁「酒税率一覧表(令和8年10月1日~)」
- 国税庁「酒類の手持品課税(戻税)の申告等の手引(令和8年10月1日分)」(令和8年9月)
- プライシー「キリンビールが値下げ!いつから何円安くなる?」(2026年5月31日更新)
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